自重

 平成18年はちょこっと本を買いすぎた。こんなペースで購入していると書棚がいくつあっても足らなくなる。今年は自重しよう。

 元旦、年賀状がどっさり届けられその整理をした。年始早々に60人ばかりの防災の講演会を頼まれているのでその準備もしなければいけない。昨年末に文部科学省地震調査委員会から愛知県内の断層についての情報が発表されて、ワシャの地域では、震度7級の地震をもたらす「高浜撓曲(とうきょく)」という断層がクローズアップされた。タイムリーなのでこの話にしようっと。
 昼頃、年末に結婚した従兄弟の子が挨拶にくる。その対応だけでも1時間費やしてしまう。従兄弟の子が帰ったので、書斎(物置ともいう)に篭って、年賀状のお返事書きをシコシコ、ホント、年賀状って面倒くさい。
 午後3時過ぎに郵便局まで年賀状を出しに自転車で出かける。それにしても元旦だというのに車が多い。それもそのはずで近所のスーパーが軒並み営業をしているのである。「元旦くらいゼニ儲けを考えずに、従業員を休ませたれや」と思うのじゃった。まぁ元旦からスーパーに出かけるほうも出かけるほうだけれどもね。
 郵便局の特設ポストに年賀状を投函して、「このまま帰るのもなんですな」と思ってしまった。書店は閉まっている。そうなると元旦からやっている「ブックオフ」しか行くところはない。まぁ仕方ない、行きたくないけれどちょこっと覗いてみるか、ということになった。
 これがまずかったんですな。
 ワシャは前々から芥川賞昭和10年の第1回から全部読み通してみたいと思っていた。そうしたら本棚に『芥川賞全集』(文藝春秋)がずらっと並んでいるではないか。ゲゲゲ!ゲゲゲのゲ……それもかなりお安い。
 新年早々自重すべしと決心をしたのにもうぐらついている。一年の計は元旦にありだ。強い意志を持って煩悩は排除しなければいけない。

 帰り道、ワシャは自転車に乗ることができなかった。もちろん前カゴと後の荷台に『芥川賞全集』全14巻が結わえ付けられているからである。こんなんで乗車すると、転倒して大怪我をしちゃいますからね。
 正月の番組はどこを捻っても押しなべてつまらない娯楽番組ばかりだ。お蔭で読書に勤しむことができましたぞ。めでたしめでたし。