謹賀新年

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いください。

 さて辰年ですので一茶の名句を一句。

「寒ごりや背中の竜の披露かな」

 これは一茶が江戸は東両国の橋詰にあった隅田川の垢離場(こりば)を詠んだ一句です。少し説明が必要だと思いますが、江戸時代に木造の両国橋が架かっていて、その東側川下に身を清めるための場所(垢離場)がありました。そこで竜の入れ墨を施した色黒く筋骨たくましいヤクザ者が必死に水を浴びていたんですね。その瞬間の映像を写し撮った一句です。

「垢離」とは本来、邪念を払い神仏に祈願をする荒行のことで、どちらかと言えば敬虔な季語と言えます。そこに江戸っ子の若い衆を組み合わせるところが、一茶の上手さです。まさに凍てつく新春の江戸の町、おあにいさんの絶叫のような念仏すら聞こえてくるいい句だと思います。

 

 本年もよろしくお願いします。