朝日の変心?

 朝日新聞の「声」欄が微妙に立ち位置を変えてきたか。

 今日の投稿に「改憲論議 深い学びから始めよう」という静岡県の78歳の医師からのものが載っている。要旨は、今月4日に投稿された中学生の「なぜ野党が憲法改正に反対するのか理由がわからない」に反論をする、諭す、洗脳する内容だった。
 まず自分は「父を戦争で亡くし、戦中戦後の困窮荒廃した生活も覚えている」と言う。そう前置きをして「若い人たちよ、実際の戦争がどういうものか、どうか深く学んでください」と呼びかける。
 おいお〜い、現在78歳ということは、終戦時に5歳だよね。戦争で父を亡くしたという事実があるとしても、それによって戦争を知っていると言えないだろう。戦争でなくとも父親を亡くした子供はたくさんいるし、5歳の幼児が実体験としての戦争を肌で理解しているとは到底思えない。つまり、戦後に知識として入れたものしかないということであって、それに関して言えば、戦後に生まれたワシャらと情報的にはなにも変わらない。
「戦中戦後の困窮荒廃」というけれど、医者になったこの人はかなり恵まれた家に育ってるのではないか。もしかしたら貧乏だったけれども刻苦勉励して医者になられたのかもしれないが、それにしても勉強に励むだけの余裕はあったわけだ。あの頃は、日本は確かに貧しかった。貧しい理由は戦争に敗けたということも要因としてあった。でもね、昭和30年代の愛知県でも、周辺の人はみんな貧しかったし、一部の地域に足を踏み入れると、困窮荒廃した生活をしている人間はやまほどいた。
 そんなことを理由に5歳で終戦をむかえたことで、現在の中学生に「憲法改正を是とするのは実際の戦争を知らないからで、もっと戦争について勉強しろ」などと、説教するのはおこがましい限りだ。
 少なくとも、マスコミや野党がそろって「憲法改悪」などと喚いているのにも関わらず、「反対する理由がわからない」と疑問を呈することのできる中学生の「思考」は、戦後の左翼教育に洗脳された世代とは一線を画するものであろう。よほどこの中学生のほうがフラットで客観的ではないか。
 この左翼医師、自民党改憲案に「恐怖」を感じ、まともな議論すら避けようとしている。「恐怖」を感じる前に、議論を尽くせばいい。情緒的な感情に訴えるのではなくなにが「悪」なのかをきちんと指摘するべきだろう。
 文末はこうだ。
改憲派は、例えば中国との紛争に備えなければと言います。でも中国は核保有国。戦争になれば日本中が焦土になります。経済的な依存関係を考えても、戦争はできないのです。》
 アホか。これだから情緒的左翼は始末に負えない。核保有国のアメリカと戦ったベトナムって国がありましたよね。イギリスとフォークランドで戦った国もあったし、つい最近、ロシヤと戦った国もがある。支那中国が核保有国だからといって、日本が戦争状態にならない理由も前例もない。ホントにこの爺さん、戦争を知っているのかいな。
「中国が核兵器を撃ちこんでくるから戦争はできない。だから憲法改正してはいけない。日本は中国の言いなりになって、ウイグルチベットのようになれ」
 とこの爺さんは言っている。

 冒頭に、「声」欄が微妙に立ち位置を変えてきたか……と書いた。それはね、上記の左巻き投稿が、通常なら右肩のトップにくるのだが、これが2番目の欄に回されていたことに驚いたのだった。トップは「せめてマラソンは涼しい場所で」という穏やかな投稿になっていた。おもしろい変化である。