独り舞台

 名古屋場所 終わってみれば独り つまらぬ

 横綱白鵬が南信の虎御嶽海に一敗を喫したのみの14勝1敗で何十回目の優勝を果たした。優勝の数など白鵬大鵬の回数をこえたあたりでもうどうでもよくなった。
 何度も言っているように独り舞台ではおもしろくないのである。例えば千秋楽に白鵬日馬富士に土をつけられて、碧山との優勝決定戦に持ち込まれる。そこで白鵬が勝って優勝してもいい。優勝決定戦までもつれ込めばファンとしてはこの上なく楽しいのに。そういった見せ場を作れないのが、この独走横綱の悪いところだ。
 千秋楽の横綱決戦で変化したしね(嘲)。「勝つためにはどんな手を使ってもいい」精神の根本には卑しい思いが潜んでいる。抜群の力量を持った横綱でなければいいだろう。平幕の小兵力士ならどんな手を使って星を拾ってもそれは許される。しかし、大鵬千代の富士をこえた記録を打ち立てたんだろう。いつまでも平幕のような薄っぺらい精神でどうする!
 その他の横綱人も不甲斐ない。稀勢の里も、先場所今場所と休場してまず傷を治す。その上できっちりと調整して土俵に上がってくるべきだろう。鶴竜も連敗が続いたところで休場してしまった。情けない。日馬富士は初日、二日目と負けが続いたがそれでも立て直して11勝4敗まで持ってきた。大関二人には勝っているので健闘はしたと思う。しかし、千秋楽で白鵬に勝ってくれると申し分ないんだけどね。
 大関陣もヘボチンだ。昔は「クンロク」(9勝6敗)大関という言葉には軽蔑の意味が込められていた。それがこのところ「クンロク」なんかいいほうで、8勝7敗とカド番を繰り返すような情けない有様。

 大相撲に限ったことではないけれど、トップは君臨してもいいが、その周辺にトップに拮抗するプレーヤーが何人か存在していることが活性化につながる。
 横綱が長期に君臨してもいい。それに追従する大関がいたっていい。ただし、勝ちっぱなしではおもしろくない。関脇、小結以下の相撲を制限せず、はねっ返りも時として土俵に登場させなければいけない。ステージにある程度の自由度を持たせること、これが興行・舞台・組織を成功させる秘訣である。