脳が・・・

 飲み過ぎた翌日はなにも頭に浮かばない。
 暑くてもカラッと晴れてくれると気持ちいいんだが、書庫の西の窓から見える空は曇っている。湿度は71%で部屋の空気がべったりとまつわりつく。パソコンを打っている机にはビニールマットが敷いてあるから、前腕がペトッとくっついてしまう。
 セミの声がいつもより遠い。昼から雨になるのかなぁ。

 でもそんなんでぐだぐだしていていはいけない。前向きに何か考えなければ……。そうだ『波』の話をしよう。新潮社のPR誌の『波』である。普通の書店であれば、レジ横に並べてあって、定価は100円なんだけど無料でいただける。ワシャはいつもの本屋さんで、他の書籍類を購入したときに『図書』(岩波書店)、『本の窓』(小学館)、『ちくま』(筑摩書房)などがいただける。流し読む程度だけれど、無料とはいえ内容は充実している。
 今、おもしろいのはノンフィクションライターの野村進氏の連載『多幸感のくに』である。副題が『「どこでも神様」の山陰世界をあるく』。6月号には「風が吹きぬける場所」ということで、出雲市の立石(たていわ)神社のことが書いてあった。名のとおり高さ十メートルを超す巨岩三塊がご神体である。この三つの岩の間をすり抜けて吹いてくる風に「畏怖」を感じたと言っている。著者に同行した女子学生がこんなことを言っている。
「あの緑くさい風がどこから吹いてくるのか、中に入って確かめてみたい気もしたんですよ。でも、『絶対に立ち入ることは許さん』みたいな拒絶するエネルギーを感じてしまって……」
 野村氏のレポートを読んでいると、日本列島にはホントに神様がいるんだということをあらためて思わされる。7月号の「多幸感のくに」は境港の妖怪たちの話でこれも興味深い。ぜひ、行きつけの書店でもらって読んでね。

 なんとか脳味噌が動き出したわい。やれやれ。