「お女中どうなされた」
「あい、急な差し込みで難渋しておりまする」
「ハテ、気の毒な。薬はなし。ドレ、おれが腹をもんでやろう」
「いえ、勿体ない」
「ハテ、病のことじゃ。何の遠慮があろう。このあたりが痛むかな」
「いえいえもそっと奥のほう……」
「こうかなこうかな」
「いえいえもそっと……」
「ここかここか」
「あれー!」
 なんのこっちゃ。鳴神不動。

 差し込みというのは「癪」とも言う。時代劇でお女中が街道でうずくまっているのは、この「癪」が出たのである。
「癪」というのは、胸や腹が痛むこと全体を指す。おそらく逆流性食道炎や過敏性大腸炎も一括りにして「癪」なんでしょうね。
「鳴神不動」の雲絶間姫は出家のために黒髪をおろすことになり、そのことに強いストレスを感じて「癪」が起きた。でもそれは、鳴神上人をたぶらかすための罠だったのである。気象まで操る上人様が、美女の癪に騙されちゃった。癪だねェ。

柴咲コウが気の毒でならない…大河ドラマ『直虎』つまらなさの研究 月9ドラマを見ているよう》
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170409-00051358-gendaibiz-bus_all
 やつはしね。
 1月9日の日記
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20170109/1483915622
の後段にも書いたけれど、題材の選択が悪いのと、隔年で主人公を男、女にしなければいけないというNHKの内規がドラマを壊している。それに今朝の朝日新聞である。
《直虎、また男性示す文献?》という記事が社会面にある。どうも女城主はいなかったような雲行きになってきた。せっかくNHK大河を征して大女優へのスッテプを上がろうと思っていた柴崎コウにしてみれば、癪の種にはなっているだろう。

 そうそう夕べのプライムニュース。厚生労働副大臣橋本岳が出演していた。テーマは「受動喫煙について」。元首相の息子の橋本と元首相の息子の鈴木俊一衆議院議員が論戦をしていた。その内容はさておく。問題は橋本の胸元だ。高そうなスーツの襟元にバッジが4つもついている。左襟には衆議院議員バッジ、その下に白鳥のような白い模様の入ったバッジ、そのまた下に厚生労働省の缶バッジ。右襟にはブルーリボン・バッジ。ちょっと多すぎないか。その上に派手なオレンジのネクタイとポケットチーフである。これほど胸元がうるさい政治家を見たことがない。橋本岳という政治家の性質が判りやすい絵になった。別段、癪には障らなかったが、腹がよじれた。