昨日、友だちに誘われてコンサートに行ってきた。ワシャが「ドボルザークが好きじゃ」と言ったのを覚えていてくれて、チケットを回してくれた。嬉し。
曲目は、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲。プロコフィエフ、ヴァイオリン協奏曲第1番。そしてドボルザークの交響曲第9番であった。「ルスランとリュドミラ」序曲は有名で、ワシャの数少ないコレクションの中にもある。プロコフィエフは聴いたことがなかった。でも、庄司沙矢香のヴァイオリンは心地よかった。モデラートのところでは落ちた(笑)。
ドボルザークの交響曲第9番である。第1楽章は「タンタタタンタタタタタ〜ン」というフレーズが繰り返される。軽快なフルートとオーボエがよかった。なにかの映画の音楽に使われていたような気がする。第2楽章は「遠き山に陽は落ちて〜」で、多くの小中学校で下校時に流して有名になったでしょ。イングリッシュホルンがメランコリックな主題を奏す。ワシャは学生時代のキャンプファイアを想い出しましたぞ。第3楽章はスケルツォ「タタタッタタッタタララン」が繰り返される。軽快な曲だ。第4楽章は超有名ですよね。ホルンとトランペットが行進曲のような溌剌とした第1主題を演奏する。ドボルザークの代表作と言っていい。この演奏で、ワシャは人生を感じた。おそらくクラシックを知っている人には当然のことなのかも知れないが、ワシャは無知なので昨日初めて悟った。第4楽章がはじまってしばらくすると後方に座っていたシンバル奏者がおもむろに立ち上がってバチのようなもので1枚のシンバルをこすった。
「ワショォォォォォォォォン」
と、ワショには……間違えた、ワシャには聴こえた。
11分程の楽章でシンバルが鳴ったのはこの1回だけだった。交響曲の演奏の中で他の楽器はいろいろなパートで活躍をする。シンバルだって出番の多い曲もある。しかしこの楽章は1回だけ。「ワ」が聴こえたかどうかはおくとして、「ショォォォォン」だけのすべてをかけるシンバルの凄さを感じたのである。調べてみると「ドボルザーク/交響曲第9番「新世界」(4楽章)」のシンバルはけっこう有名なんですね。メゾフォルテで1発のみ、待ちに待って、じっと我慢して、耐えに耐えて、1発をかます。かましちゃいけない、1発を放つ。目立たないけれど、一瞬だけ輝いて、重要な仕事をこなすと、さっと退場していく、そんな役割をシンバルが聴かせてくれた。
オーケストラを幕末明治に例えると、大村益次郎の役回りだなぁ……とドボルザークを聴きながら想起していた。