ガッテンできない

 夕べ、NHKの『ガッテン!』の直前に『ガッテン!』担当の小野文恵アナウンサーが神妙な顔で画面に現れた。前回の放送で「睡眠薬で血糖値が下がる」とデマを飛ばしたことについての謝罪である。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170301-01785999-nksports-ent&pos=4
 睡眠がとれない人間が、睡眠を充分に確保できるようになれば、そりゃあ体調も良くなりますわなぁ。その程度の話であって、それをあたかも睡眠薬の効き目のように喧伝してはいけない。ここは小野アナだけではなく担当のディレクターも並んで謝罪すべきではなかろうか。まぁ速攻で非を認めたことは危機管理として及第点だった。
 その後、「コラーゲンの真実SP効く人vs効かない人その決定的違いが判明。しわ&潤いを1週間で」というテーマで『ガッテン!』が始まった。
 反省は生かされるのだろうな……という穿った目線でテレビを見ながらビールを飲んでいた。ううむ、番組自体が断言することを非常に慎重にしているのは見えてくる。例えば、マラソンチームの食事にコラーゲンが摂り入れられていて、選手の一人は「走るのが楽になった」というような感想を述べていた。その画面の下に「※あくまでも個人の感想です」というようなクソCMと似たような差し込み分が流された。アホか!
 その上、炎症とか傷にもコラーゲンは効果があるということの証明をするために、番組関係者の皮膚にわざわざ擦過傷を創って、コラーゲンを摂取したときとそうでないときの治癒の状況を人体実験したのである。バッカじゃないの!とは出演者の清水美智子の言。実際に病院で治療中の患者の傷を示しているので、もうそれで充分なのだが、羹に凝りて膾を吹いている。結論をなにがなんでも補強しよう、これでもかと視聴者にたたみかけよう、そのためには手段を選ばない。『ガッテン!』の製作サイドはまったく反省していない。前回の「睡眠薬誤報」も今回の「人体実験」も製作サイドの驕り、無知から出ている。そのことに気が付かなければ、いくら謝罪しても意味はない。早晩『ガッテン!』は打ち切りになるだろう。
 NHKは腐っても鯛だと思っていたが、腐った鯛はやっぱり食えない。