三日法度

 近年のアメリカ大統領を比較するという番組があった。久しぶりにレーガンクリントンニクソンケネディなどの御尊顔を拝する。レーガンは映画俳優だっただけにくっきりとした顔立ちをしている。クリントンもやさしげないい男だ。ニクソンは強面(こわもて)だが意志の強さのようなものが表情に出ている。ケネディは暗殺に倒れたことで、面差しに悲劇性が漂う。それは見る方のイメージなのかもしれないが、でも端正な色男であることは間違いない。特徴はそれぞれだけれど、みなさん、品格のあるいいお顔である。
 それではトランプ大統領はどうか?若い頃の彼はイケメンだった。フロリダかどこかに買った別荘をキャスターに自慢している映像で見たのだが、この若者が上手に年齢を重ねていけばすてきな紳士になるだろう……そう感じた。
 人の表情というのは生き様で造られていく、これは厳然たる事実である。若い頃には評価の高かった芸能人が覚醒剤で身を持ち崩し、虫のような表情になっていることは例として多い。神童でもなにも勉強しなければ間の抜けた顔になるのは必然だ。
 トランプ大統領の表情を見ていると、目の配り方、眉間の皺の寄り方、話す時の口の曲げ方に特徴がある。そこから庶民には想像できない生き馬の目を抜くような丁々発止の人生を送ってきたことが読み取れる。騙し騙され、はったりと虚勢で莫大な財産を築いてきたのだろう。
 歴代大統領に比べトランプ大統領に大きく欠けているものがある。それは「品格」である。おそらくメディアは故意に悪い表情のところを使っているのだろうが、発言などを鑑みるとさもありなんと思えてしまう。「品格」は一朝一夕では身に付かない。何十年という丹精が必要なもので、いくら金持ちでも金で購うこともかなわない。願わくは、トランプ大統領が本当は品格のある紳士であってほしい。
 タイトルは「みっかはっと」である。実行しがたい制令や禁令をあざけっていう言葉。トランプ大統領の発した令は司法から「NO」を突きつけられた。これがアメリカのバランスであろう。