考える時間がないとつい天声人語

 朝、時間がないと天声人語にからむことにしている。手っ取り早いんですね。今日の看板コラム(笑)もひねりもなんにもない。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12696036.html?ref=tenseijingo_backnumber
《75年前のきょう、日本の株式市場は大きな盛り上がりを見せた。日本軍による真珠湾奇襲が歓迎され、海運業など多くの株が値を上げた。当時の朝日新聞には「さながら現状打破を歓迎する国威発揚相場の観があった」とある》
 12月8日に真珠湾攻撃の話題を持ってくる。安易安易。もってくるにしてももう少し変化球を投げないとダメだろう。前段は真珠湾攻撃の報による株価の上昇の話。後段はどう展開していくのかと思いきや、山本五十六の有名な海戦に関わる発言を引く。この山本発言は使いまわされ過ぎて手垢にまみれている。文章のプロが看板コラムで使っちゃあまずいでしょ(笑)。結びは、ここも今ならこの話題しかないでしょというくらい鉄板ネタ。安倍首相の真珠湾訪問についてである。
《慰霊の言葉とともに、日本がなぜ無謀な戦争になだれこんだのかを語ってほしい。歴史からの教訓に区切りがつくことはない。》
と締める。そもそも「日本がなぜ無謀な戦争に引きこまれたのか」そこを伝えるのはメディアの仕事ではないのか。とくに戦意を煽りに煽った朝日新聞の贖罪だと思うが。歴史に区切りがつくことはない。太平洋戦争もそこだけを切り取って考えるのは間違っている。実は太平洋での戦争は30年前から始まった欧州戦争の延長線上にあり、もっと言えば19世紀半ばの帝国主義の伸張からつながっている。そしてそれぞれの局地戦から得られる教訓など、国の事情や歴史の大きな流れの中で二転三転する話で、そんなものはブツブツに切れている。
 それから真珠湾攻撃はすでに「奇襲」ではないことはまともな日米の知識人ならよく解っている話で、それを70年も後生大事に書きつづける朝日は阿呆と言っていい。

 もうひとつ。
 島根県民の歌が議会で取り上げられたんだとさ。
《「90万の県民」…今は60万人台 県民の歌に県議質問》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161207-00000028-asahi-pol
 要するに歌詞の中に県の人口が90万人と出てくる。

香りゆかしき伝説の
み国譲りの往古(むかし)より
こゝろ一つにむつびあう
九十万の県民の
平和の歌は今ぞ湧く
あゝやすらけきわが島根

 やや堅苦しいけれど、県の歌だからね、いい詩ではないか。
しかしそれは60年前のことで、現在は70万人を切ってしまったのでいかがなものか、と質問している。暇な県議だ。
 ワシャは愛知県民なので、余計なお世話であることは重々承知している。でも近い親族が松江にいるので、少しだけ言わせてね。
 別にいいじゃん、九十万で。これから九十万を目指すってことでもいいし、不足は(畏れ多いけれど)祖霊の頭数ってことでもいいのではないか。そんなことを県議会の本会議で質問すべきことなのだろうか。まぁ国会で念仏を唱えた人もいるくらいだから、そんなものと言えばそんなものか。