古典の日

 昨日は忙しかった。今日も忙しい。でも心を亡くす方向の忙しではなく、己の心を培うほうで時間を費やした。午前中は「古典文学」である。午後は「歌舞伎」、夜は居酒屋、ううむ、充実した一日だったわい。
「古典講座」は、作家の奥山景布子さんによる『問はず語り』である。鎌倉後期の後深草院の頃のある女性のお話である。これがなかなか生々しい。「にひまくら」という章があってこの中で和歌がうたわれている。
「心よりほかにとけぬる下ひぼのいかなるふしにうき名ながさん」
 歌の中にある「下ひぼ」は下着のヒモのことね(笑)。
 主人公は二条という女性、幼いころから後深草院に目を点けられていて、結局、伽の相手をするために御殿に上がることになる。ただ、父親の身分が低いので――といっても正三位大納言であり、江戸時代であれば尾張徳川家ほどの地位ということになる――格を伴う側室とはなれなかった。
 そんな娘の行く末を案じた父の大納言は「ゆくゆくは落ちぶれたとしても身を売るようなことだけはするな。そんな時は出家せよ」と教訓を残すのだった。
 天皇よりも権力を持つ上皇に仕える妾が、一旦その職を失えば、娼婦の真似のようなことをしなければならないのか。それほど上と下との落差がなかったのだろうか。
現在の倫理観と単純に比較するのは、認識を誤る。おそらくは平安、鎌倉など遠い時代は性に関することについて、大らかであったことだろう。だから上皇の妾から娼婦というトラバーユもそれほどのハードルはなかったかもしれない。
 まぁ、そんな話が続くわけですな。こりゃ楽しみだ。

 おっと出かける時間になってしまった。この続きはまた後ほど。