けなげ

 息子が友人の結婚式に出席した。最近は「引き出物はお好きなものを」ということでカタログを1冊もらって帰ってきた。欲しいものがなかったらしく、祖父母に「好きなもの頼んでいいよ」とカタログを渡してしまった。
 何日か過ぎた。家に四角い宅配便が届く。なんだろうと開けてみると「ソーラーライト」が入っていた。聞けば、母親が門から玄関までのアプローチが暗いので、途中に灯が欲しかったそうな。「だから注文したので、おまえが組み立てろ」とあいなった。
 大した構造があるわけでもないので、6つくらいのパーツをくっつけるだけのことで出来上がる。それを昨日の朝、玄関から2mほど中に入ったところにさしておいた。50センチほどの小さな支柱ライトで庭の草木の間にほとんど隠れてしまう。庭自体うっそうとしているので、日当たりもよくない。こんな場所で大丈夫かいな、と思っていたものだ。
 日がしずみ、庭が暗くなってくるとなんと植え込みの陰でLEDがほのかに光っているではあ〜りませんか。よほどそれがうれしかったのか、老親は、何度も何度も玄関から庭を覗いては、「お、光っている光っている」とご満悦だった。
「何を喜んでいるんだか」
 と、ワシャは苦笑をしていたが、寝る前、1時半ごろだったか、庭を見るとけなげにライトが光っていいるではないか。
「おお、がんばっているじゃないか」
 と、ちょっと感心したのだった。