買い初め

 新年になってから本を買っていなかった。だから買い初めをしようとあちこちの本屋をまわった。でも、平成28年の第一冊目の栄冠に浴する本はなかなかない。週刊誌というわけにはいかないし、格のようなものが欲しかった。ブックオフも4日になって4軒覗いたんですよ。どの店も混んでいましたなぁ。日本人も本好きになったものだ……と思ったら違った。ガキンチョ達がゲームソフトを手にレジ前に並んでいるのだ。本も読めよ、子供たち。
 いつもなら1軒よれば、どうでもいい本を10冊くらい拾ってくるのだけれど、なにしろ年初めの「最初の一冊」というしばりがかかっている。仏教系の専門書とか、漢方学の大書があれば、1万円くらいまでなら購入しようと思っていたのだけれど、さすがブックオフ、そんな本はありゃしない。
 買い物のついでということもあったので、隣町の大きな書店に顔を出して、第一冊目を物色した。しかし、ここでもピンとくる本はない。仏教系の本もあるにはあったのだが、すべてにおいて軽めなのである。「道元」「親鸞」「日蓮」「白隠」などの本が2000円前後、これならワシャの持っている本のほうが専門的だ。せめて5000円を超えるくらいの内容が欲しい。それなら文庫系でと思って、そちらのコーナーに行く。この店の文庫の揃え方はなかなかのボリュームで、ここなら何冊か買えるかもと期待をしていたが、残念な結果に終わった。
 西洋系の古典は充実していた。ううむ、ワシャ的には東洋系が今は読みたい。並んでいる文庫の東洋系は、ほぼ持っている本ばかりだ。新書も選書のコーナーも探したが、ピンとくるものはなかった。
 家に帰って、遅ればせの年賀状が何枚か舞い込んでいたので、その返事を投函しに郵便局に行った。そのついでにいつもの駅前の本屋に立ち寄った。もうここで買わないと後がない。そこの新刊本のコーナーで目についたのが、割田剛雄・小林隆共著の
天皇皇后両陛下慰霊と祈りの御製と御歌』(海竜社)であった。これじゃ!内容の格もこれ以上のものはない。
 ついでに文庫本の棚を見ると、道元『典座教訓・赴粥飯法』、栄西喫茶養生記』(どちらも講談社学術文庫)があった。これだ。仏教と東洋医学に通じるような気がする(笑)。とにかく買って帰ろう、そんなことが昨日あって、とりあえず平成28年の読書生活をスタートできたのだった。やれやれ。