朝から忙しくなってきた

 朝は忙しい。秒刻みで走り回っている。もちろんNHKの朝の連続ドラマを見ている余裕はない。寂しいからテレビを点けてはいる。でもね、じっくりと腰を据えて見るなんてことはできない。同時にいくつものことをやっていかないと仕事に遅れてしまう。だから、シェーバーで顔をあたりつつ、今日の会議で使う資料を揃えながら、その合間に天気予報とかニュースをチラッと確認するくらいが関の山。
 今は歯を磨きながら書庫でキーボードに向かっているわけなんだけど、この時間が一番落ち着く。その間、テレビは向こうのリビングで一人で話をしている。
 でもね、今回の連ドラ「あさが来た」
http://www.nhk.or.jp/asagakita/
には注目している(注目と言っても、横目で見るくらいですけどね)。
 注目しているのは、ドラマの中に新選組が出てくるからである。大河ドラマじゃないんですよ。朝の連ドラなのに新選組、それも土方歳三山本耕史ときたもんだ。これは楽しみだ。
 二、三日前だったか、たまたま歯磨きをしながら、鞄に書類を突っ込んでいるときに、山本耕史の土方が登場したのである。不逞浪士のたむろする民家の入り口を蹴破って土方が乱入してくる。そして言う。
「待たせたな」
 これがカメラ目線なんですね。もちろんドラマの中で、不逞浪士に吐いた言葉なのだが、同時にテレビカメラの向こう側にいる視聴者に投げたセリフでもある。
 歌舞伎の「お祭り」で鳶頭の松吉が登場し(この間は仁左衛門だった)、「まってました!」と大向こうから声をかけると、「待っていたとはありがてえ」と応える。舞台と観客が一体となる瞬間だ。この手法なのである。山本は、総髪の髷がよく似合う。時代劇の主役が堂々とはれるいい役者になりましたなぁ。山本と一緒に「新選組!」に出ていた山本太郎はどこか別の次元に行ってしまったのが残念だが(笑)。牛歩のアホはさておいて、「あさが来た」である。当面、新選組が関わるところだけは、ビデオ録画をしてでも見ることにしようっと。

 そうそう今朝の朝刊に与謝蕪村の未知の句集が発見されたという記事が1面にあった。
《蕪村、未知の212句 長く所在不明の句集見つかる》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00000058-asahi-soci
「傘(からかさ)も化(ばけ)て目のある月夜哉」
 うふふ、妖怪好きな蕪村らしい句ですね。よくぞ「夜半亭蕪村句集」を見つけ出したものである。こうやってまた蕪村の人となりが少しずつ着実に顕かになっていく。楽しみだなぁ。天理図書館にはしっかりと研究をしていただきたい。こういった地道な作業の積み重ねが歴史を編むということなのである。
 捏造されたフィクションを正史に据えようとするお粗末な国や機関とは雲泥の違いがある。