大阪でんがな その3

 前回来た時には、友だちのふくらはぎが美味しかったのか、藪蚊の集団に襲われてしまった。だから今回は「虫よけスプレー」を持参した。それにオペラグラスも2つ持って行った。藪蚊を気にせずに、庭先から覗ける司馬さんの書斎をじっくりと楽しむために。これがうけた。
 オペラグラスもその実力をいかんなく発揮。隅から隅まで司馬さんの書棚を観察する。
「おおお、ワシャの町の町内会が出版した『里千年史』が納まっているではあ〜りませんか。その下の棚にあるのは『徳川十五代史』これは全五巻なのだが、ここで見つけて購入しましたぞ。『日本類語大事典』、『近世風俗事典』『改正三河風土記』『日本神社総覧』『図説徳川家康の時代』『徳川氏の研究』などなど、確認できた本は、とにかく購入することにしている。
 その書斎の西の植え込みに「記念館建設時に寄付をした人の名前が列記された銘板」があって、ここで何人かの知人の名前を紹介する。菅伸子さんの名前なんかもあるんですよ。

 銘板から少し西に行くと裏庭にいく裏口がある。その扉が開いていた。そこをするりと抜けて裏庭に。
 裏にはには二羽ニワトリがいない。猫がいた。猫がくつろいでいた。そこには「ふりむけば 又咲いている 仏三千 花三千」の司馬さん直筆の碑がある。
 しかし、裏庭のバックヤード化が進んでいたなぁ。資機材が置かれて、その上に無造作にブルーシートがかけられていた。その上が猫の居間になっているのだが、それじゃダメじゃん。この碑を、見学コースに入れているとするならば、もう少し整理整頓をしておくべきだろう。

 さて、司馬遼太郎記念館本館である。ついこの間、来館したばかりなんですね。もちろん企画展は「世に棲む日日」のままで何一つ変わっていない。でもね、いいんですわ。この場所だけは、何度訪れてもいいところだ。圧倒的な書籍の底に立つと、己の小ささを再確認できる。初めて訪れたときには、思わず涙がにじんだものだった。今はそんなことはないけれど、相変わらず進歩がないので、そのことには泣けてくる(笑)。