はつつくつく

 昨日のことだった。自宅から1キロほどのところに比較的大きな公園がある。その脇の道を自転車で走っているときに、つくつく法師の鳴声を聴いた。今シーズン初だった。もうすでに耳にしている方がいるのかもしれないが、ワシャは一年ぶりでしたぞ。
「オーシツクツクオーシツクツク」
 夏も終わりだなぁ……とつくつく感じませんか。
 七十二候でいえば、処暑第二候「天地始めて粛(しじ)む」である。「粛む」は「ちぢむ」であり「つつしむ」である。夏が慎みを持ち始めたということか。

 盆が明けてから自転車道を走っていると、トンボの群れに遭うことがしばしば。一昨日は、ワシャが走るまさに鼻先5センチくらいを先行するように飛んでいく。目の前だからトンボの種類まで判った。背中の青い「オオシオカラトンボ」である。気まぐれに10メートルほど案内をしてくれて、それから脇に逸れていった。
 ワシャは襟ピンが好きで、いくつか持っている。その中にトンボのピンも2つあって、一つは京七宝の小さなトンボである。それは背中のところに青い七宝がほどこされて、ワシャは「オオシオカラ」だと思っている。トンボは勝ち虫とも呼ばれ、縁起のいい虫なので、楽しくつけているのだった。
 残念ながらつくつく法師のピンは持っていない。