カルピスコーラ

 先日のことである。外出をしていて咽がかわいた。なんでもよかったのだが、たまたまコーラを選んで飲んだ。最近は体重も気にしなくていいので、普通のコーラをグビグビとおもいっきりあおった。美味かったね〜。
 ところがね、コーラを飲んだ瞬間に、脳裏に記憶が再生されたのである。クリアに。味覚というやつは記憶を再生させる最たるものですね。

 19歳のころだった。高校時代、勉強らしい勉強をしなかったので、志望する大学など受かるわけがない。いわゆる浪人というやつで、たまに予備校には通ってはいたが、それでも時間を持て余し、JR駅前のYという喫茶店を根城にして、パチンコに行ったり、雀荘をのぞいたり、オートバイで走り回ったりして、無為の青春を過ごしていた。
 そのころ気に入って飲んでいたのが、カルピスコーラだった。
 高校は卒業していた。だが、かわいがっていた(笑)後輩たちとの交流は続いていて、授業中、放課後に関わらず連絡が入ってくる。当時はケータイなんてないから、固定電話にかけるか、立ち寄りそうなところを実際に探すしか連絡のつけようがなかった。自宅は厳しい親がいるので、なかなかつなぎの場所として相応しくない。だからYのような喫茶店にたむろするわけである。
 駅広場の向かいにある雀荘でヤクザなオッサンたちと卓を囲んで、その後、戻ってくると、くわえ煙草で「カルピスコーラ!」と注文するのだった。突っ張っているわりに味覚はガキなんですな。
ママはワシャの前のテーブルにカルピスコーラを置いて「さっきゲンちゃん(後輩・仮名)から電話が入って昼過ぎに来るってよ」と伝言をくれた。これでつなぎがついたわけだ。
 なぜか知らないけれど、高校時代の後輩には懐かれた。先輩には嫌われたんだけどね(笑)。
 昼過ぎに、ゲンが持ってきた話は、後に「カルピスコーラ事件」として長く語られることになる事件の発端となるのだが、この時点でまだワルシャワ少年はそのことを知らない。この続きはまた明日。