ついている日

 昨日、隣町に飲みに行った。日中は雨が降っていたのだが、夕方からあがって「ついているなぁ」とツレと笑いあったものである。
 常連としてかなり通っていた居酒屋が年末に閉められた。ビルの取り壊しに関わるもので、残念だが仕方がない。
 年が改まり、その居酒屋の大将がワシャの町から一駅(ひとえき)のJRの駅前で店を再開したと風の噂で聞いた。「じゃあ行ってみようか」ということになって普通電車に乗ったものである。
 いやー、それにしても一つ東の駅前は田舎だった。駅前に店らしい店はなく、喫茶店が一つあるだけ延々と歩いて件の店にたどり着いたのだが、店が暗い。おいおい、定休日も確かめてやってきたんだぜ。そりゃないだろう。店の周囲をぐるっと回っても人の気配はしない。こりゃ完全に閉店だ。うらびれ方を見るに、定休日ではなさそうだなぁ。
 いつまでも寒空に佇んでいてもらちが明かない。ツレがスマホで検索すると、鉄道をはさんで駅の反対側に居酒屋がある。「よし、そこにするべい」ということになった。トットコ歩くこと10分、幹線沿いにパチンコ屋があって、その裏に店舗が5軒ほど並んでいる。その一軒が居酒屋のはずなのだが、シャッターが下りていた。だめだこりゃ。並びにラーメン屋が空いてはいたが、ラーメンで一献というのも味気ない。
「もう少し行くと鰻屋がありますよ」とツレが言うので、そこまで頑張って歩いた。辛うじて鰻屋は開いていたが、客はワシャらだけの閑古鳥。長焼とうざくと肝焼きで熱燗をいただく。店の状態をみても味の程度はわかるでしょ。
 結局、自分の町にもどっていつもの居酒屋で飲みなおそうということになったのだが、なんとそこも閉店していた。こんなことがあるんだなぁ。
仕方がないので、駅前のチェーン店の居酒屋で飲んで帰ったのだった。なんのこっちゃ。