永遠の家族

 昨日放送された「サザエさん」の波平の声が茶風林さんに代わった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140216-00000007-it_nlab-sci
 声に関しては、まったく違和感はなかった。声が若返ったくらいの感じだったわさ。
声優は去っていくけれども、波平さんは少しの声変わりくらいで延々と生き続ける。永遠に止まったままの家族は、絶対の基準となり、ワシャらはどんどんの老いていく。
 ワシャがサザエさん四コマ漫画をスクラップしていたのは小学校4年だった。カツオより1学年下である。それがサザエさんを抜き、マスオさんをこえて、いつしか波平さんの歳をもしのいでしまった。ワシャらが死んでも波平さんの「バッカモーン!」という怒鳴り声は響いているんだろうね。
 サザエさんを見ると、星野之宣が描いた『月夢』に登場してくる「八百比丘尼」を思い出す。八百比丘尼の周囲で人はどんどんと歴史の彼方へ行ってしまう。
「消えていく消えていくまぼろしのように……時のかなたへ……」
 800年もの間、竹取の翁・媼は、別れ別れになったなよ竹に再会するために、生き永らえる。悲しい話だった。
 サザエさんも、すでに何世代ものファンを時の彼方に置き去りにして、永遠の若さを保っている。すでに時代から大きく乖離しているアニメと言っていい。ケータイもスマホも、パソコンすら登場しない世界。自宅で両親が和装をして、勝手口に御用聞きが訪ねてくる家族ってのが、どれほど日本にいるのだろうか。現実離れしているような気がする。でもいいんだよね。