横浜・東京ホリデー

 昨日、横浜馬車道にあるビジネスホテルを出たのは午前10時だった。天気は空は蒼一色の快晴、風のない穏やかな日よりである。
 新宿界隈まで行くので、横浜駅に出たい。馬車道駅からみなとみらい線に乗るのもひとつの方法だが、みなとみらい大通りをそぞろ歩くのも悪くなかろう。馬車道から左に折れ本町通りを西に進む。本町通りは日本丸のあたりからみなとみらい大通りになる。広い歩道、ランドマークタワーに代表されるビル群、いつもこのあたりに来ると大阪万博を思い出す。40年で夢は現実になった。
 馬車道から横浜駅まで3kmちょっとだろう。おもむきのある石畳の歩道がずっと続くのだが、これがキャリーバッグに振動を与える。中には買ったばかりのパソコンが入っているので、ちょいと不安だ。
 ランドマークタワーを過ぎて、けやき通りを渡るころには、汗がにじむ。ジャケットを脱いで、シャツ1枚で歩く歩くひたすら歩く。運河を見つけて「そうか、往時はこのあたりは海だったんだなぁ」と、とりとめもないことを思ったりする。
 ワシャは『江戸時代図誌』(筑摩書房)を持っている。その25巻が「長崎・横浜」で、その中に「御開港横濱之全圖」が載っている。これを見ると、横浜がホントに小さな寒村で、そこに長崎の出島に模した外国人居留地が造成されたことが理解できる。その圖を思い出しながら、街を眺めていたら、横浜駅をかなり通り過ぎてしまった。あわてて引返したが、ざっと4km以上歩いたかなぁ。
 ようやく横浜駅からJR湘南新宿ラインで新宿に向かう。午前10時49分発で、新宿には11時18分に着いた。新宿から地下鉄大江戸線で若松河田まで行く。しかしこれが面倒くさい。大江戸線で新宿から若松河田に直通で行こうとすると42分ほどかかる。歩いてもすぐなんですよ。東新宿の次が若松河田なんだから。でもね、大江戸線は新宿から目と鼻の先の若松河田に行くためには、いったん逆方向の都庁前まで乗って、そこで乗り換えて新宿西口、新宿東、若松河田、ざっと10分の行程だ。大江戸線が循環していないので、そこが面倒くさい。西口から出てしょんべん横丁を抜けて新宿西口駅に行けばよかったのか(笑)。

 午後は若松河田から10分ほどのところにある会議室で読書会。いやーこれが久しぶりにエキサイティングな読書会だった。詳細はお伝えできないが、40人ほどの参加者が全員それぞれ好きな古典本を、それこそ好き勝手に紹介するのである。おそらくこんな形式の読書会は他ではできないだろう。だって、どんな本が出てくるか判らないんですよ。主催者にしてみれば、これは怖い。どうなることやらと思っていたのだが、この会の主催者はそのすべてを読んでいて、それぞれに的確なコメントをした。これは生半可な読書量ではできることではない。
 結局、俎上にのった本は40冊を超えた。その中の何冊かは読んだことのあるものだったが、橘曙覧『独楽吟』(グラフ社)、ヘレン・ミアーズ『アメリカの鏡・日本』(角川学芸出版)、エンゲルス『空想から科学へ』、藤原てい流れる星は生きている』(中公文庫)などなど、未読のものも多い。一応、現在注文できるものについては発注をした。あとは日本の古本屋か、ブックオフで漁るかなぁ。
 読書会で取り上げられたJ・モノー『偶然と必然』(みすず書房)を、古書店のネットで検索している人がいて、「それがたちまち売れていく」と報告をくれた。会場内の誰かが買ったことは間違いない。ワシャもパソコンを持ち込んでいたので、会場から何冊かを注文しましたけどね(笑)。
 4時間みっちりの読書会、疲れたけれど今後の糧になった。

 読書会で出た名言を。
「時代をさかのぼって批判するのはナンセンス」
「猪瀬さんは必ず立ち直る」
「残り時間はそう多くない。なるべく意味のないことは省いて有効に時間を使いたい」
 まだたくさんあるけれど、もう少し自分の中で咀嚼してからご紹介したい。

 その後、読書会の会場にあるレストランで軽く打ち上げをする。けっこう喋ったのでビールのおいしいことといったらありゃしない。そこを1時間ほどで締めて、飲み足りない仲間と東京駅に出る。八重洲側の一番街にある「築地四丁目 紀どり」で、あとから駆けつけてくれた仲間もふくめてさっそく二次会。
 獺祭があったので、アジのナメロウを肴にいただきましたぞ。これが「美味し!」。一番街の2Fという立地のために客が流れこまない。だから店は空いていたが、魚介の新鮮さからいって悪くないですぞ。「穴場」と言っていい。
 もう少し飲んでいたかったのだが、新幹線の時間もあるので盛り上がる仲間に別れを告げて、車上の人となる。
 これで新幹線の中で少し眠って「めでたしめでたし」となるのだが、ところがどっこい、まだこの後にドラマが待っていたのである。ムフフフフ……。
 そのあたりは明日のココロということで。