国史大辞典の話

 9月14日の朝日新聞の1面記事下広告に勁草書房の本のラインナップが載っていた。その中に、『国史大辞典を予約した人々』という本の紹介がされている。書かれたのは愛知県出身の佐滝剛弘リベラルアーツ・ジャーナリスト)という人である。ワシャは『国史大辞典』が好きなので、この本も早速入手しましたぞ。
 基本的にこの本は『国史大辞典』のことを書いた本ではない。帯にもあるけれど、明治末年に、近代日本を切り拓かんとして、知識を得るために高価な辞典をこぞって予約した人たちがいて、それが「予約者芳名録」として残っている。その芳名録についての本なのである。
 現行の『国史大辞典』は全17巻が311,850円で発売されている。古書店ならもう少し安く買える。明治41年に発刊された初版は、全2巻で20円だった。直接比較ができないが、映画館の入場料で考えると、明治42年が15銭だったと記憶している。今が、1800円くらいだから、当時の20円は現在の24万円くらいになる。警察官の初任給が13円だったから、けして安い本ではなかった。
 でもね、そんな本を1万人もの日本人が予約して購入したという。著者は言う。
《電気機器の普及やインターネット全盛で若者の読書離れが叫ばれ、地域の文化を支える中小書店が相次いで店を閉じていく現在。一方で一万人近くが立派な日本史の辞書を購入した、明治後期の人たちの知識欲をどう受け止めたらよいのか?》
 おっと、出かける時間になってしまった。この続きは後程。