台風のように

 昨日、台風が迫って来る最中に上京した(以後、今日を示す語はすべて昨日のことです)。
 午前7時の在来線で名古屋まで出て、それから「のぞみ」で新横浜まで向かう。新横で下車、横浜線東急東横線みなとみらい線と乗り継いで、9時23分にみなとみらい駅に着く。
 本日のコンファレンスは「パシフィコ横浜」で開催される。この街の中でももっとも海沿いのエリアにある建物だ。みなとみらい駅から、何本ものエスカレーターに送られて、コマーシャルエリアを抜ける。みなとみらいホールと横浜ベイホテルの間を通って、霧のような雨の降る屋外に出た。

 みなとみらいは久しぶりだなぁ。ベイホテルとパシフィコをつなぐ陸橋に立つと、いつもそうなのだが、1970年の大阪万博会場で感じたワクワクした気持ちとでも言うのだろうか、21世紀を見ているんだという高揚感のようなものが湧いてくる。要するにお上りさんということやね。
 
 おっと、コンファレンスだった。「国内外のスマートシティ関連企業のキーマンに向け情報発信」と銘打って「Smart City Week 2013」が開催されている。そこでの情報収集が今回のワシャの使命なのだった。
 このコンファレンスが、午前10時開始だったので、6時台に自宅を出るはめになったわけ。でも「のぞみ」を使うと、10時前に着けるもんですな。滑り込みセーフで会場入りすることができた。
 この会議の終了が午後0時30分。関係者と名刺交換をして「パシフィコ横浜」を出たのが1時少し前。もちろん腹が減っている。来る時にクイーンズスクエアで目を付けておいた蕎麦屋「更科一休」に入りましたぞ。いただいたのは「しらすおろしそば」。色の白い細麺にたっぷりのしらすとおろしが乗っている。そこに甘めの出汁をかけてズルズルッと食す。うまし!
 
 軽い食事を終えて、午後からは東京に出る。歌舞伎座に行きたいところだが、仕事仕事(泣)。今日は霞ヶ関で開かれる小さな会議に出席する。そこで某省のキャリアと丁々発止のやりとりをしなければならない。
 みなとみらい線東急東横線日比谷線と乗り換えて霞ヶ関の駅を出たのが午後3時前、日比谷図書文化館に立ち寄り、そこで軽く事前打ち合わせをした。午後4時に某省某局を訪ねることになっているので、30分程で切り上げて外に出る。雨はすっかり上がっていた。雨上がりの日比谷公園の散策は清々しい。おっと、散策といっても通り抜けただけなんだけどね。

 そして午後3時50分、某省の受付に並んでいる。それにしても国の機関のセキュリティは厳しいですな。まず、申請書を書かなければならない。住所・氏名・勤務先、用務先も事細かに記載する。それに身分証明を添付して警備員に提出する。そうしてようやくパスカードが付与される。これで改札を通って建物の中に入ることができる。う〜む、この手続きをしていて、なんだかとても中央省庁との距離を感じた。これでは国民の生活が直に見えないのではないか……などと余分なことを考えてしまった。
 さて、会議は空調の入らない会議室で1時間半に及んだ。会議は国の役人が2人、シンクタンクが3人、地元企業の事業部が3人、それにワシャと部下で、計10人の会議だった。
 いろいろな遣り取りがあったわけだが、やっぱりキャリア官僚というのは頭がいいなぁ。会話をしていても切れ味が違うというか、こっちのほんの少しの発言ミスを捉えて、その矛盾をガンガン突いてくる。その攻撃をふにゃふにゃと受け答えながら言い逃れるのだが、これがね、ちょっとしたゲームみたいでおもしろかった。
 午後5時30分に某省を出た。さあ、これから歌舞伎座の幕見かというと、それはできない。とんぼ返りで、三河にもどらなければならないのである。本日、地元でイベントがあって、その関係者が午後6時から反省会をやっている。そこに地元ではけっこうビッグな人物がゲスト参加しており、そこに顔を出さなければいけない。真剣に新幹線の中で走りましたがな。
 午後8時30分、三河安城着。そこから車を飛ばして、いつもの料理屋へ。座敷に入る前に中の様子をうかがう。締めの食事が出ている。宴も終盤だった。なんとなく宴会も落ち着きを取り戻し、参加者も全体に疲れが見える。これはいけない。ここは新手の援軍にならなければいけない。部下とともに、座敷脇の障子窓から宴席に突入し、座敷を席巻したのだった。
 そこから1時間、大騒ぎをして、ゲストにも楽しんでいただいたようである。
お開きになって家路についたのは、午後10時を回っていた。料理屋に入った時よりも少し雨足が強くなっている。台風の影響が強くなっているようだ。
 それにしても、大車輪で走り回った一日だったなぁ。