呉智英氏の卓見

 昨日発売された『週刊ポスト』に評論家の呉智英さんが寄稿している。今、松江発信で大騒ぎになっている『はだしのゲン』についてである。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130826/edc13082616570001-n1.htm
 まず騒動を見てみよう。ある男性が松江市議会に平成24年8月24日付けで陳情書を出したことから始まる。件名は「陳情第46号 松江市の小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて」である。要するに〈天皇陛下に対する侮辱、国家に対して間違った解釈、ありもしない日本軍の蛮行〉が掲載されていて、そのことで子供たちに〈間違った歴史認識を植え付け〉るということらしい。これに対して松江市議会は直後の教育民生委員会で、本件を不採択としている。これを不服とした一部委員から、再度意見が出て、最終的に松江市教育委員会が『はだしのゲン』の閉架を決定した。
 この決定を受けて、今月20日に朝日新聞を中心とした「閉架反対」の声が挙がるのである。

 呉さんは言う。
「マンガの表現が過激で残酷だろうが、見る、見ないは個人の判断に任せるべきで、行政が一律に閲覧をするのはおかしい」
「あるいはネトウヨからの声高な講義に過剰に反応したのかもしれないが、それにしても拙劣な対応です」
「そもそも閉架書庫を求めた側もそれを批判した側も、作品の本質をまったく理解せず、狭量な主張をしていることが問題」
 さすが卓見ですな。呉さんが言われるとおり、右にしろ左にしろ、些末な一部分だけを切り取って抗議をしてくる連中、これは悪臭と一緒でなかなか消えるものではない。呉さんの一言で言い尽くしているので、こんな連中は問題にする必要もないだろう。この呉さん言にあるように「貶めるバカ」と「崇めるバカ」でしかないからね。

 問題にすべきは、教育委員会だと思う。今朝の朝日新聞1面に、この問題で《市教育委員会は26日、市教委事務局の手続きに不備があったとして、閲覧制限を撤回することを決めた。》とある。
 要するに、一部の「貶めるバカ」の圧力に屈した市教委に「手続き的不備」、つまり「オレたちに相談もせずに判断したのが間違いだ」として、責任を事務局に擦りつけていい子になろうとしている。いつもは「よきにはからえ」ってやっているくせに(笑)。
 それにマンガの開架・閉架の判断は、各小中学校に任せるのだそうな。要するに「貶めるバカ」からのインネンも「崇めるバカ」からのクレームも、全部、各学校で対応してね、という責任転嫁、無責任体質。
 まぁ、お飾りだけの教育委員会もどうでもいいか。「問題にすべきは……」といいながらごめんチャイ。

 そうだ!問題の本質は『はだしのゲン』がどういった作品であるかということなのだ。このことについてはアホなワシャが百万言を費やしても無駄だから、ここはぜひ『週刊ポスト』の呉さんの論をお読みいただきたい。「貶めるバカ」も「崇めるバカ」も「よきにはからえ」も、もちろん浅薄な知識しか持たないワシャも含めて、勉強になること請け合いですぞ。