稲沢市

 昨日、極秘任務を受け愛知県稲沢市にゆく。JRの快速で名古屋まで出て、普通に乗り換える。名古屋駅からわずか3駅というのに、とても静かな駅だった。駅周辺に高い建物がないので、とても空が広い。暮らしやすそうな町だな。
 町の重心はJR稲沢駅ではない。裸祭りで有名な国府宮周辺にある。タクシーで中心市街を走ってみたが、確かに町の勢いのようなものは国府宮が優っている。

 三河からみると稲沢というところは遠く感じる。でもねワシャにとっては比較的縁のある場所なのだ。そもそもワルシャワ家のルーツは北尾張にあり、このあたりの地域とはなじみがあるからね。
 ワシャが5歳の頃、祖父に連れられて国府宮のはだか祭を見に来たことがある。男たちのあのパワーは凄まじく、冬だというのに男たちの体から汗が水蒸気になって立ち昇っていく……そんな情景を思い出した。

 ここに一枚の鉛筆画がある。お見せできないのが残念だが、ワシャの画いたはだか祭り絵である。ふんどし姿の男たちが押し合いへし合いをしている。男たちは「わしょい」「わしょい」「わしょい」と叫んでいる。きっと「わっしょい」でしょうね(笑)。隅の方に歩道があり、綿菓子の露店がある。その横に人ごみが描いてあり、その中に祖父に手を引かれたワシャが小さく書いてある。おおお、遠近法が使っているではないか。空にはヘリコプターが2機、なぜかゼロ戦も飛んでいる。なかなか迫力のある絵ですぞ。
 裏面にはその時の印象が書いてある。
「ぼくわおされてなきそうでした。でもなくとはづかしいのでなきませんおもちがものすごくおおきいのでした。ぼくわびっくりしました。かえるときみちがわかりませんでした」
 はだか祭を見ながら、国府宮神社まで行ったんだな。そこで大鏡餅を見たわけだ。人ごみでもみくちゃにされて泣きそうになったのか……覚えていないけれど。

 時間があれば、町歩きをしたかったが、某所での打ち合わせをそそくさと済ませると、また三河に戻らなければいけない。午後から社長協議がはいっているのだ。久々の出張だというのに、部下は容赦なくワシャのスケジュール帳を埋めていく。
 思い出の国府宮に後ろ髪を引かれながら、JRに乗り込むのだった。サミシー!