疲れる送別会

 もう2カ月くらい経ったので書いてもいいだろう。
 昔、一度だけ職場が一緒になった人の送別会があった。肩書は次長である。当時は隣の部署の係長だった。その時の後輩から「〇〇さんの送別会をやるんですが、ワシャさんも出席してもらえますか」と打診があったのである。
 実は気が進まなかった。それに宴席も続いていたので記念品代だけ払って遠慮しようかとも思ったが、「参加者が少ないので是非」ということもあって出席を決めたものである。
 やっぱり止めておけばよかった。
 さして親しくないのである。ここ10年ほどは一緒に飲んだことすらない。しかし、ワシャのことを「ワシャ!」と呼び捨てにする。ワシャは、原則として年下でも「さん」「くん」をつけて呼ぶ。よほど親しくない限り呼び捨てはあり得ない。自分の原理原則を押し付けるわけではないが(押し付けているが)、親しくもないのに人を呼び捨てにするヤツが無礼に見えて仕方がないのである。
 その夜も、退職する先輩が「ワシャ、ワシャ」と呼ぶたびにムカムカしていましたぞ。

 もう一つ気になって仕方がなかったのが、その先輩が口癖のように連発する「コミュニティー」という言葉である。送別する側は基本的に後輩が居並ぶ。酔いが進んでくると、その後輩たちに「会社人とはこうあるべきだ」という訓示をたれはじめた。
「ぼくがね、なんとか次長をやってこれたのも、人とコミュニティーをじゅうぶんにとってきたからなんだ」
「お客様とのコミュニティーは大事だよ」
「コミュニティーすることを忘れるな」
 この人、「コミュニティー」をバカの一つ覚えのように繰り返した。しかし、ワシャにはこの人の言っていることがうまくコミュニケートしてこない。
「人とコミュニティーをとる」って、何を言っているのだろう……実は解かっているんだけどね(笑)。
「コミュニケーション」を「コミュニティー」と言い間違えているのである。ワシャのレベルも低いが、それでも「コミュニケーション」と「コミュニティー」を間違えない。
 ワシャらに「会社員とは、人間関係とは、人生とは」を「コミュニティー」をかざしながら必死に説く先輩。その前で欠伸を噛み殺すのが大変な後輩たち。後半は頭が痛くなってきたわい。
 平成24年にも面倒くさい送別会のことを書いている。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20120224/1330118570
 ワシャは送別会に恵まれないなぁ。