なにも出ない……

 夕べは久しぶりに熟睡をした。アルコールも摂取せずにである。寝るのがこんなに気持ちがいいとは、しばらく忘れていたなぁ……。

 布団から出たのが午前6時、新聞を取りにいって書庫にもぐり込む。ううむ、新聞を読んでもピンとくる記事がない。
『日本史歳時記三六六日』(小学館
『今日の事件簿』(展望社)
『記念日・祝日の事典』(東京堂出版
『戦いの三六六日』(ランダムハウス講談社
『カレンダー日本史』(岩波ジュニア新書)
『カレンダー世界史』(岩波ジュニア新書)
などを見ても、2月2日の事歴に「これだ!」というものがなかった。
 なにも出てこない日というのがたまにある。日というより時期といったほうがいいか。とにかく指が動かない。
 なにしろ手がかりが欲しかったので、『日本史歳時記三六六日』の一日前の記事に「1986年 東京都中野区の中学2年生、いじめを苦に自殺」という記事を見つけ、それをたよりに『昭和二万日の全記録』(講談社)をひもとく。
まだご記憶の方もおられるのではないか。あの「葬式ごっこ」で有名になった東京都中野区中野富士見中学校の事件
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/nakano.htm
である。
「よし、一日遅いけど、中野富士見中の事件と桜宮高校の体罰事件を絡めて……」
 と、思ったのだが、ううむ、これも琴線に触れない。仕方がないので、『昭和二万日』の1986年1月27日から2月9日までのページ(1ページになっている)をぼーっと眺めていた。
 ほほう、スペースシャトルチャレンジャーが打ち上げ直後に大爆発したのは、この年の1月だったのか。およよ、猿之助が初めて「ヤマトタケル」を新橋演舞場で上演したのもこの年だ。リバースモーゲージ
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8/
の検討に入ると厚生省が言ったのはこの年の1月27日だった。あれからどれほどの歳月が過ぎたのだろう。この制度は未だに検討されっぱなしなのだろうか。官僚のやることは遅いのう。
 ありゃま、ページの日表の上に司馬遼太郎が書いた弔辞の抜粋が載っているではあ〜りませんか。これは後輩のジャーナリストに贈ったもので、司馬さんの書籍以外に収録されている。あるいは『司馬遼太郎が考えたこと』(新潮社)にあるかもしれない。一応調べておこう。
 調べてみるとやはりあった。「並みはずれた愛――柩の前で」と題された文章だ。4500字ほどの弔辞だが、故人のことを心にしみる言葉で讃えている。誉め上手な司馬さんの面目躍如といったところだ。

 ううむ、しかしこのことも今日ワシャが書きたいことではない。『昭和の二万日』を棚に戻していると、その横ある『校定新美南吉全集』が目に入ってきた。
「そうだ、作家の日記から2月2日を引っ張り出してやろう」と思い付いた。しかし、南吉の話はけっこう書いているので、思い直して、夏目漱石の全集に手を伸ばす。
 ありましたぞありましたぞ。明治34年2月2日の日記が見つかった。それも今日と同じ土曜日だ。ロンドンで書かれた日記らしく、Queenの葬儀を見に行ったとか、地下電気(地下鉄)に乗ったというようなことが書いてある。
 おもしろいエピソードだが、頭の中でそれ以上の広がりが出てこない。頭をかきむしっているところに、コラムニストの勝谷誠彦さんのメルマガが届いた。

 やはりプロというのは凄い。朝のわずかな時間で5000字もの文章を見事にまとめ上げている。昨日、靖国に行ったことを導入部にして、AKBの嶺岸みなみの「丸刈り」騒動に触れ、そこからいじめ問題まで話が及ぶ。その後、朝日新聞のネガティブな記事をバッサリと斬って、読者の溜飲を下げてくれる。お見事!

 それにしても今日は何も頭の中で醸成がすすまない日だったなぁ。こういう日は仕事をするに限る。そろそろ職場に向かうとするか、やれやれ。