江戸のシステム

 警察も検察もそろそろ組織としての限界を呈している。すでにサイバー犯罪にはついていけない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121015-00000106-mai-soci
 自分たちの捜査の稚拙さを強引に補おうとするからこういった誤認逮捕につながるのだ。もうそろそろやり方を考えなければ警察、検察の信用は地に落ちるだろう。
 今日の朝日新聞のオピニオン欄に今年、話題になった警察の不祥事が一覧になっている。それを見ると、ざっと23件、上半期だけでこの数字はかなり矢場い。
 サイバー犯罪に対応できない質の低下に加え、人的な劣化も進んでいるようだ。

 そもそもワシャは警察という役所がもっとも旧態依然としていると思っている。なにか物事を動かそうとしても、前例踏襲、自己保身、責任回避がまず先行し、率先垂範して動こうなどと絶対に考えない組織である。
 道路の規制についても、地元のお祭りで「どうしても道路を占用したい」、あるいはマラソン大会で「道路を使いたい」と懇願しても新規に許可が下りることはまずない。「事故が起きたらどうするのか」この一点張り。「事故が起きたら」って、愛知県は全国で一番死亡事故が多いのである。規制で市民をちまちまいじめている間にそっちを何とかしてほしい。
 でもね、とくに警察は責めるばかりではいけないとも感じている。日本が戦後、社会主義国家に成り果てて、警察の権威を剥奪していることも事実としてあるからだ。
 スピード違反したオッサンが、白バイの警官にくってかかるなんてことは日常茶飯事である。犯罪者がつかまって「おらぁてめえぶっころすぞ」とか息巻いても叩くことすらできない。クソガキの暴走族は、パトカーをなめているし、信号を無視して逃走を図っても発砲すらできないのが現実だ。
 最初のスピード違反の例でも、取り締まる警官は敬語を使い、つかまったオッサンは激怒している。何かが狂っていないだろうか。警察や検察が隠そうとするからいけない。取り締まり、逮捕時、取り調べ状況などはすべて動画で録画しておいて、堂々と世間にやり方を問えばいい。無法者に発砲したって健全な市民は怒らないだろう。無軌道なガキを更生させるために殴ったってまともな市民は容認するはずである。
 さて、冒頭のサイバーテロである。これはなかなか現状の警察組織では解決が難しいと思う。なにしろサイバーの世界は日新日歩なのでお役所にはついていけない。そこで提案したいのが「鬼平システム」である。
鬼平」とは、江戸後期の幕臣長谷川平蔵のことである。43歳で火付盗賊改方の御頭に任じられ、亡くなるまでその役にあった。詳細については、滝川政次郎『長谷川平蔵』(朝日選書)に詳しい。でもやっぱり、池波正太郎の『鬼平犯科帳』ですよね。
 その中に鬼平の手先になって働く人間が数多登場する。小房の粂八、大滝の五郎蔵、おまさ、伊三次など、元盗賊が密偵として活躍しているのだ。要するに蛇の道はヘビということ。
 つまり、サイバー攻撃に対応できる先兵は、サイバー攻撃を仕掛けた犯罪者ということで、そいつらをうまく飼いならし、サイバー犯罪に対処させるというのも手だとは思うが、焼冷ましの餅のようにお堅い警察、検察では真似できないだろうね。

 最後にこちら側の非も記しておきたい。それについては、冒頭に紹介した朝日のオピニオン欄に載っている大宅映子さんの言葉を引く。
《何でも平等、同じだとする戦後日本の風潮は間違いだし、あり得ない。人の上に立つ人、特権を持つ人を敬い、支える風土とともに特権を持つ人の誇りも失わせた気がします。》