ミキハウスの社長

 昨日は雨だった。朝、雨の中を近所の理容室に行く。24骨の蛇の目傘を差していったらマスターに「すごい傘ですね」と感心されてしまった。この間は友だちに大受けしているし、この傘、おかしいのかな。
 午後からは、行きたいところがあって空けておいた。ところが職場から急な呼び出しがあり会社に出向く。断ってもよかったのだが……まぁいいや。

 仕事帰りに書店に寄って、本を何冊か求める。その中に『週刊現代』7月7日号が混じっていた。1日待てば、今日、『週刊現代』7月14日号が出る。そのことは知っていたが、購入をきめた。
 週刊誌の場合、「2つ以上読みたい記事があれば買う」というルールをワシャは持っている。目次をパラパラと見て、面白そうなものが二つあれば週刊誌はレジ行きとなる。とくに『週刊現代』はハードルが低い。連載の「なんなんだこの空気は」で1つクリアしているので、もう1つおもしろい記事があればいい。だから、ワシャの書庫には『週刊現代』がもっとも多く散乱している。

 今週の『週刊現代』で気になったのは、ミキハウスの木村社長が登場する「橋下徹反乱軍を鎮圧する」という記事だ。この中で橋下市長を腐してこんな発言をしている。
原発は危険というけど、(原発が稼働した)この50年で、交通事故で100万人以上が死んでいるわけです。原発でそんなに死にましたか?橋下さんは、ただ単に注目を浴びたいだけだと思いますよ。実際、大停電が起きたら誰が責任をとるのかと言いたいですわ」
 ああ、ミキハウスの社長も「市場」しか見ていない。「市場」しか見えない輩に橋下さんの見ているものは絶対に見えないだろう。
 それに木村氏の言っていることがよくわからない。「原発では1人も死んでいない」と交通事故を対比させて批判している。そこまで100万人の犠牲者に問題意識を持っているなら、自動車会社や国土交通省に抗議すればいい。絶対にしないだろうけど。
 確かに今回の原発事故では100万人は死んでいない。それでも多くの住民が殺された。それは事実だし、そもそも数の話ではない。
そしてここが交通事故と根本的に違っているところで、そこに思いが馳せられないところが木村氏の限界だろう。「市場」ばかり見つめているから近視眼になっている。
 いいか、原発事故は「国土」を殺したのだ。日本人の大切な故郷を立ち入ることのできない場所にしたのである。この罪は極めて重い。
 人は死ぬ。100年もすれば現在生きている人のうち何人生き残っているだろう。150年なら間違いなく誰もいなくなる。人はたまたまその時その場所を訪った客人(まろうど)でしかない。しかし、国土は私たちが営々と子孫に残していかなければならない大切な民族の遺産である。それを殺したのである。
 それから、大停電が起きても、原発事故が起きても、それは電力会社が責任をとるに決まっている。あたりまえじゃないか。
 木村社長、もっと森を見ようよ。
 最近、「市場」ということで書くようになって、儲けしか頭にない商売人の愚かさが鼻につくようになってしまった。
 今朝の新聞1面である。「大飯3号機再起動」の大見出しが躍る。いいですか、28日の新聞に「原発危険度ランク表」が載っていたが、大飯3号機は26位ですぞ。もっと安全な原発が24基もあるのに26位を稼働するのである。そして大飯3号機の横には、原発危険度ワースト1、2の大飯1号機、2号機が座っている。稼働するにしてもなぜこんな危険な原発をいの一番に動かすのだろう。それも国民、関係自治体などがこぞって反対しているにも関わらず。
 答えは簡単ですよね。「市場」がそれを望んでいるからです。