仏さまにお逢いするには冬がいい

 ワシャは仏像を見るのが好きだ。とくに好きなのは新薬師寺の伐折羅(バサラ)大将である。
以下をクリックして少し下にスクロールしていただくと伐折羅大将がおられます。
http://www.k5.dion.ne.jp/~shinyaku/juunishin.html
 伐折羅大将の天を突く憤怒は、凛とした静けさが似合う。外界から蝉の声や、風に騒ぐ木立の音などないほうがいい。ひっそりと鎮まった、凍てついたような空間こそ仏さまにはふさわしいと思う。

 高円山西の麓、花の寺といわれる白毫寺(びゃくごうじ)の閻魔王坐像も迫力だ。
 ワシャは悪い男である。だから、あらかじめ閻魔さんとは昵懇になっておいたほうがいいという下心で会いに行った。閻魔庁に引き出されたときに初対面では、閻魔さんの手心がいただけないでしょ。面識があれば、
「2010年の冬にお邪魔したじゃないですか。あの時、お賽銭に1万円を奮発したワルシャワですよ」
ということになるじゃないですか(笑)。
「喝!」
 うわわわわ、閻魔さまに怒られた。
「ばかものめ。あの時にお前が賽銭箱に入れたのは100円ポッキリではないか。二桁もサバを読みおって」
「ひえええ」

 また、法隆寺の東にある中宮寺弥勒菩薩様もよろしい。菩薩はあまたおられる。けれども、只今、まさに思索されておられる菩薩は、弥勒菩薩以外にない。衆生のために半跏し、思惟(しすい)しておられる。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/27/Bodhisattva_Chuguji.JPG
 はるか遠く飛鳥の時代に、お出ましになり、以来、現在まで、未来の理想の世界をどうしようかと考え続けておられる。
 わずかに背を曲げられたたおやかなからだつき、目を閉じ少し微笑んでいるようなお顔の気品のあることよ。

 ああ、奈良に行きたい。