かきねのかきねの曲がり角
たきびだたきびだ落ち葉たき
あたろうかあたろうよ
きたかぜぴいぷう吹いている
師走に入った。今朝は寒くなるという予報だったが、毛布をはねのけるくらい暖かい朝である。
冒頭にもってきたのは、童謡の「たきび」。この歌は、昭和16年12月に「NHK子供テキスト」で発表された。そして太平洋戦争勃発の翌日にラジオで初めて放送されたのである。
国際情勢は緊迫していた。しかし、まだ昭和16年である。国内にはそれほど逼迫した状況は生まれていない。東京のあちこちでラジオから流れる「たきび」を聴きながら、集めた落ち葉に火をつけて「あったかいねぇ」などと言っていたのだろう。
ところがどうだ。今では、落ち葉たきなどしようものなら、すぐにクレーマーが役場の清掃部門にねじ込んでくるそうな。
「おい!隣の家の庭で落ち葉を集めて火をつけて燃しているぞ。ダイオキシンの混じった煙がオレの家に流れてくる。どうしてくれるんだ」
まだ、こんなことを言ってくる輩がいるんだとさ。久米宏がダイオキシン騒動を起こして以来、ダイオキシン猛毒説が一般に広まってしまった。
だが、実際にはダイオキシンで死んだ人はいない。
このあたりについては、日垣隆『それは違う!』(文春文庫)に詳しい。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E9%81%95%E3%81%86-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%97%A5%E5%9E%A3-%E9%9A%86/dp/4167655020
ダイオキシンは700度程度の燃焼で一番多く発生する。ダイオキシンが猛毒を持っているなら、全国の焼き鳥屋のオヤジはみんな死んでいる。
たき火すらできないとは、つまらない国になってしまったものだ。
そうそう、この「たきび」という童謡、巽聖歌(たつみせいか)という童謡詩人が書いている。巽聖歌、知っている人は知っている。なにを隠そう、この人物は童話作家の新美南吉を世に出した人でもある。この人がいなければ新美南吉作品は日の目を見なかったかもしれない。
平成25年に、南吉生誕100年がやって来る。生まれ育った半田市と、南吉がもっとも充実した日々を送った安城市がなにやら仕掛けを考えているらしい。ムフフフフ……。