あついあつい……

 夕べは暑かった。午後10時ごろからジトジトと雨が降りはじめ、湿度が一気に上昇する。書庫(物置ともいう)で小説を読んでいたのだが、繰るページが湿っていくのがわかる。風呂から出てさっぱりしていたのが、いつの間にか全身汗まみれになってしまった。
 最初は扇風機で我慢しようと思ったのだが、扇は湿った空気を掻き回すばかりでものの役に立たない。午後11時を過ぎて、ついにエアコンのスイッチを押してしまった。

 ううむ……これが快適なのじゃ。来月から始まる研修のための小難しい本の内容がすらすら頭に入ってくる。エアコンの低いうなりはあまりに心地よく、肘をつくとベタベタしていた机がサラサラになった。つい机に突っ伏してウトウトしてしまいまいたぞ。
 ワルシャワは、もうエアコンなしには生活できない体質になってしまった。軟弱なり!

 最近の国の動きを見ていると、太平洋戦争の末期のような様相を呈してきた。
 1945年3月10日の東京大空襲で帝都は壊滅した。3月13日は大阪大空襲、17日は神戸大空襲、19日は名古屋大空襲である。太平洋ベルト地帯は、B29の絨毯爆撃でぼこぼこにやられた。
――今、空襲を受けた神戸元町の写真を見ているのだが、その風景が東北大震災の津波被害を受けた市町の様子と恐ろしいほどよく似ていて、ちょっと驚く――
 4月1日には、アメリカ軍がついに沖縄に上陸を果たす。日本国民が直接戦闘の被害に巻き込まれる状況に陥る。
 しかし、日本のトップエリート集団であるはずの「軍」は戦争の続行をあきらめない。国土が焦土と化しているのである。何を根拠に楽観をしているのだろう。一億玉砕などという戯言をいう軍人まででる始末である。もう軍の中枢はメルトダウンしていたと言い切っていい。
 その後も無能な軍部と政府が手をこまねいている間に、圧倒的な火力を有するアメリカ軍が根こそぎ焼き尽くす勢いで沖縄を制圧していく。沖縄での絶望的な戦闘はこの後、84日も続けられた。大本営がぐずぐずしている間に66年前の6月23日、沖縄守備隊の全滅により戦闘の終結を見る。陸軍8万、海軍1万、そして非戦闘員の住民10万人が犠牲になった。
 沖縄戦の継続にも、中央を牛耳る軍官僚の無能な思惑があった。戦闘前の部隊配置でも、意味のない楽観論による誤りがある。沖縄戦は間違いなく人災だった。
 今、沖縄戦の写真集を広げている。米軍が日本兵の立てこもった洞穴に火炎放射器で攻撃をしている写真が悲しい。大本営の無能にも関わらず、命を賭して最前線で戦った英霊に対しこころから感謝したい。

 菅直人という国難が笑っている。この男に比べれば麻生や福田のかわいかったことよ。もうスッカラ菅を揶揄る気力も失せたが、しかし、スッカラ菅の持ち出してきた「再生可能エネルギー特別措置法案」には驚く。こんな法案を今、採決している場合か。こんなつまらない法案は、あさってもって来やあがれ。
 なんでワルシャワはそんなに、「再生可能エネルギー特別措置法案」に反対するのかって?
 その理由は明快ですぞ。それはね、あの福島瑞穂が大賛意を表明しているからに他ならない。これまで日本は、福島瑞穂土井たか子田嶋陽子の言うことの逆を実行すれば概ね間違いなかった。歴史が証明している。福島社民党党首が賛成しているから怖いのだ。それでいいのだ。

「再生省エネ法」などという東北救済にまったく意味をなさないことを喜々としてやっている総理大臣に、太平洋戦争末期の首脳部の無能さを感じるのはワシャだけだろうか。
 この夏、菅の単なる思いつきの「浜岡原発停止」によって、どれほど多くの人々が夏の熱に焼かれることになるのだろうか。
 トップの判断の誤りは、多くの犠牲を生む。それだけは言い切れる。