あの人がいてくれたなら…… その2

(上から続く) 
 上記の3人では比較するのもおこがましいが、官僚を使うのに長けていた政治家と言えば、まず田中角栄だろう。
 田中が大蔵大臣に就任した際にこう言ってのけた。
「オレは尋常小学校しか出ていない。だから考えることは全て諸君らに任せる。ただしその結果についてはこのオレが全責任を負う。だからおもいきり仕事をやってくれ」
 そう言いながら田中はものすごい量の本を読むなどの努力を怠らず知識を吸収し、併せて官僚たちへの気配りも徹底的にやった。こういった積み重ねが田中の信用となり、部下からの信頼を勝ち取る要因となっていく。
 小沢一郎が新人議員として衆議院に初登庁した時、田中はこう諭したという。
「自分の物差しばかりで物を言うなということだ。こういうのは、使いものにならない。黙って汗を流せ。いいところは人に譲ってやれ。損して得取れだ」

 上記の3人、「自分の物差し」でしかものが見られない。いいところばかりを自分のものにしようとする。汗を流さず口ばかり、その口も曲がっているのだからどうしようもない。
 この大災害に、田中角栄のような宰相が座っていれば、展開も大きく違ってきただろうが、「もし」の話をしていても仕方がない。ガタガタのリーダーでも、これが国民の選んだ(ワシャは入れていないけどね)リーダーなら責任は国民全体で取らざるを得ない。情けないがそういうことなのだ。