M9の地震は想定内、東海地震は眉唾 その1

 東京電力福島第1原子力発電所では、一進一退の攻防が続く。現場で作業にあたる担当者の方々の命がけの努力に頭が下がる。なんとかいい方向に進展することを心より祈りたい。
 それはそれとして、これはこれである。昨日、武田さんの話でも書いたが、組織が大きくなればなるほど硬直化し動きは悪くなるという証左のような話。
 2年前にすでに研究者が福島原発を巨大な津波が襲う危険性を東京電力に指摘していた。
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032601000722.html
 いわゆる「貞観地震」である。
 時代背景を見てみよう。貞観11年(西暦869年)、今から1142年前、藤原氏が台頭し摂関政治を展開する時期に当たっている。そうそう、「伴大納言絵巻」に描かれる応天門の変が3年前に起きた。そんな頃に、三陸沖で巨大地震が起きたのだ。平安時代に編纂された国史である「日本三代実録」にもこの地震について記されている。
 この地震について研究し、福島第1原発の危険性を指摘したのが、独立行政法人産業技術総合研究所」の岡村行信さんだった。しかし、東京電力はその忠告を受け入れなかった。
原発の安全性は十分な余裕を持つべきだ。不確定な部分は考慮しないという姿勢はおかしい」
 と岡村さんは言う。この言に耳を傾ける賢明な企業人、あるいは地質学や考古学に詳しい趣味人が東京電力の上層部に存在していれば、この人災は防げたのかもしれない。返す返すエリートで固められた硬直化した集団による指導体制の怖さを見せつけられた。
(下に続く)