戦場カメラマンという職業

 2009年の4月のことである。ジャーナリストの日垣隆さんの主催で、「戦場ジャーナリストでは食えなかったけれど」と題したセミナーが開催された。ゲストはフリーの戦場ジャーナリスト加藤健二郎さんなど錚々たるメンバーが顔を揃える。詳細は、日垣隆『戦場取材では食えなかったけれど』(幻冬舎新書
http://www.gfighter.com/0004/20091125003421.php
をお読みいただきたい。このセミナーで戦場を駆け回るジャーナリスト、カメラマンの苛酷な実態を知ることができた。

 先日、書店をうろうろしていて『戦場カメラマンという仕事』(洋泉社MOOK)を見つけ購入する。巻頭インタビューは報道カメラマンの宮嶋茂樹さんだった。宮嶋さんと言えば、報道カメラマンとして有名で何冊も本を出している。ワシャの手元にも数冊はある。例えば『ああ、堂々の自衛隊』(クレスト社)、『不肖・宮嶋の一見必殺』(文藝春秋)などなど。
 彼がこのインタビューの中で言っている。
「私はしっかりと写真でカネを稼げなければプロのカメラマンとはいえないと確信しているので……」
「職人としてプロの仕事を見てもらいたい。やはりそのためには高い技術とノウハウが必要で、その代価として私はそれ相応の報酬をもらう」
 ううむ、まさに戦場で命を賭けて仕事をするプロの発言だ。そして別の文章の中でっ宮嶋さんはこう言い切る。
不肖・宮嶋ごときが戦場カメラマンなどと、恐れ多いというより、十年……いや五年は早い。というより、残念ながら今の日本にはホンモノの戦場カメラマンは存在しない」
 本物の戦場を知る宮嶋さんだからこそ言える厳しい言葉だ。そして彼はこう締めくくった。
「ましてや、お笑い芸人やヒモに名乗る資格はない」
 お笑い芸人が渡部陽一さんを、ヒモが山路徹さんを刺していることは容易に想像がつく。
 そうそう前回の日垣セミナーで日垣隆さんが渡部さんを評してこう言っていた。
「え、彼はツーリストじゃないの?」
 ヒモについては「詐欺師」と斬り捨てていたような……。