首長たちのララバイ その1

 前阿久根市長の竹原さんのブログが酷い。
 まずは竹原さんの文章をその日記から引く。
《私が市長をしている時、窓口に住民票を取りに行った。書類に名前などを書いて出した時、職員から「運転免許証など身分を証明するものをお持ちでしょうか」と聞かれた。私は、思わず「泣かすぞ!」と言ってしまった。すると他の職員がその職員に対して「住民票出して」と言ったので私はそれ以上言わなかった。小役人は自分の親に対しても真顔で「身分証をお見せください」とやるのだ。公務員は人間性も正義感も無いロボット、血も涙もない。》
 なにを言っているのだろう。市民が(市長とはいえ市民ですよね)、窓口に住民票を取りにきた。窓口職員としては、運転免許証などの身分証明を確認するのが当然だと思う。それに対して竹原(当時)市長は「泣かすぞ!」と言った。なぜ?適正な対応をしている職員に対して「泣かすぞ!」になるのか。

 このエピソードからいろいろなことが読み取れる。
 窓口に竹原(当時)市長がやってきた。申請書に名前などを書いて「住民票を出してくれ」と窓口に出したんだろう。で、窓口の職員はご丁寧に市長に対して「身分を証明しろ」と言ったわけで、そのことを「公務員は人間性も正義感も無いロボット、血も涙もない」と言うわけだ。
 本当にそうか。窓口職員の立場に立って考えてみよう。

【パターン1】
 市長がやってきた。それも職員を敵視している怖い市長である。その市長が申請書を書いて窓口に提出してきた。どうやら住民票が欲しいらしい。黙って出すか。待てよ、これは市長が職員を試しているのかもしれない。ここはマニュアルどおりやっておかないと、「市民課の窓口職員はきちんと仕事をしていない」などとブログに書かれてしまう。それは困る。ここは丁寧にマニュアルどおりの対応をしておこう。
「運転免許証など身分を証明するものをお持ちでしょうか」
 市長の顔が変わった。そしてヤクザのようにこう言った。
「泣かすぞ!」
ひえええ、やっぱり、本当に泣きそうだ。

 独裁とは、諸刃の剣なのだ。部下は独裁者に対していらぬ気を遣い、こういったことも起きる。
(下に続く)