今、天皇論が畏れ多くもおもしろい その2

(上から続く)
 いやー、朝からちょこちょこっと書く話ではなくなってきました。でも続けます。
 この両論を聴いたり読んだりしていると、どちらかというと「女系天皇容認論」に傾いてくる。それは小林さんの漫画に感化されたというよりも、所教授の人柄と説得力に圧倒された。
たかじん委員会」のレギュラーである頑固一徹三宅久之さんも、当初は「男系男子継承論」に与していた。ところが、裏付けがしっかりあり、理路整然とした所教授の意見を認めるようになっている。徐々にではあるが「女系天皇論」に首肯するようになってきた。まぁ所教授と論陣を張ったのが論の粗い西尾さんだったので、そう思われたのかもしれないが。
 どちらにしても国民が天皇制度について考えることは大切である。そのことを広めるためにも今の議論は重要だと思う。

 さて、蛇足である。
 司馬遼太郎の短編に「美濃浪人」という話がある。明治の元勲井上馨が若かりし頃、まだ長州藩尊王攘夷派と俗論党で相争っていた時期に、井上は俗論党の壮士に闇討ちをされた。家人が襲撃現場に倒れている井上を見つけたところを司馬さんの文章から引く。
《「これは……」と、両人はぼう然とした。菜を切りきざむように斬られており、まだ呼吸があるのがふしぎなほどであった。》
 この後、井上は自らの屋敷に担ぎ込まれるのだが、手の尽くしようがなかった。このときに突然あらわれたのが、美濃浪人の所郁太郎という医者であった。彼が瀕死の井上を三途の川から呼び戻す役割を果たしたのだった。
 図らずも京都産業大学の所教授も岐阜県揖斐郡のご出身である。揖斐郡といえば美濃国だ。もしかして所幾太郎となんらかの関係があったりして……などと朝から悠長に考えている場合ではない。仕事に行ってきます!