勘違いな人々 その1

 先日、柔道オリンピック金メダルの谷本歩実が某所に現れた。周辺の人たちが拍手で迎える。普段着の谷本はどこにでもいそうな気さくなネーチャンだった。でもね、このネーチャンの講演を聴こうとは思わない。オリンピックの思い出話とか、柔道を続けてきた苦労話はあるだろうが、たかがオリンピックの金メダリストでしかない。
 どうだろう。日本人の金メダル保有数は200前後ではないだろうか。世界で考えれば、どれほどの金メダルがあるのか、想像もできない。前回の北京五輪だって302種目に金メダルが出ている。ソフトボールやバレーボールのような団体競技もかなりあることから実際の金メダル保有者の数は500とか600になるのではないか。
 もちろんアスリートとしてその競技のトップに立つということは素晴らしいことだし、その価値にケチをつけるものでもない。天邪鬼なワシャだって、金メダルをとったその瞬間には心から惜しみない拍手も贈った。
 しかし、金メダルをとったことで、その人の話が「ありがたい」かというとそんなことはちっとも思わない。金メダルはアスリートとしての弛まぬ努力の結果として輝くが、そのこととその人の人格とは連動するものではない。
 例えば、先のオリンピックで柔道100キロ超級の石井慧である。彼が人格者といえば、そうではないだろう。柔道の巧いという特性はあるものの、人間性はただその辺りにいるニーチャンとさして差のない人物であろう。
 繰り返す。オリンピックで金メダルをとったことは称賛に値することであり、そのことについて否定するつもりもない。それは認めるが、だからといって人に道を説けるほどの人間かといえばそうではないだろう、と言いたい。
 これがイチローだったりすると事情が違う。イチローの成し遂げていることは500分の1とか600分の1といったレベルの話ではないからだ。谷本さんもイチローと肩を並べるつもりもないだろうけどね。
 谷本さんの先輩に勘違い女がいる。このたび週刊誌の「女が嫌いな女ランキング2010」で沢尻エリカを抜いて谷亮子が堂々の1位になった。
http://blog.livedoor.jp/gsplus/archives/1568220.html
 谷本さんにはこれから永い人生がある。柔道では秀でた人だった。でも、だからといって政治家が務まるか、人の前にたって人生が語れるかというとそれは違うような気がする。くれぐれも谷亮子のように勘違いをしないように願いたい。
(下に続く)