名前と災難

 竹内政明『名文どろぼう』(文春新書)に「名前と災難」という章がある。そこには、名前による悲劇が7人の著名人によって語られている。例えば与謝野晶子は四男と五女にアウギュストとエレンヌと名付けた。晶子はものにこだわらない性格だったそうだが、子供は迷惑だったろう。後に二人とも改名をしている。
 先日、お亡くなりになった井上ひさしさんも名前で苦労をしているそうな。井上さん、本名を「廈」と書く。これで「ひさし」と読む。これは読めない。きっと子供の頃、名前を説明するのに辟易としたことだろう。だから、ペンネームは「ひさし」とひらがなにしたんだね。
(下にもあります)