極めて憂慮すべきこと

 8日に続き昨日もまた中国軍の挑発行動が発生した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100421-00000192-jij-soci
 独裁国家でなければ、他国の暴力的干渉から国民を守る「軍」は国家・国民に帰属する。
 一党独裁の中国において、人民解放軍は、共産党一党に仕える私的な「軍」だと思っていた。ところがこの状況をみると、どうも違うな……。
 パクラン会であろうと、ものまね博であろうと、中国共産党悲願の上海万博の開催まで10日を切っている。このデリケートな時期に共産党がこういった軍の行動を容認するだろうか。
 それに、青海地震の救援・復興だって、今、その緒についたばかりだ。そんな時期に、共産党人民解放軍を使って自衛隊を挑発する意味が見出せない。
 とするとだ、状況もわきまえずこういった軽挙を思いつくのは、頭脳明晰な共産党幹部と考えるよりも、脳味噌が筋肉でできているような現場の軍人から発しているとしたほうがしっくりする。
 つまり、人民解放軍が党から乖離をはじめている兆候ではないのか。

 中国の陸軍は7つに分けられている。瀋陽、北京、蘭州、成都、南京、広州、済南である。これらのそれぞれが20万から30万の規模で、機甲師団や機械化歩兵師団、砲兵師団を複数抱えこんだ軍閥となっている。因みに陸上自衛隊は全部あわせても14万人しかいまへん。軍閥一つにも劣っている(泣)。
 これは海軍でも同様で、北海、東海、南海の3つの艦隊を揃えて、総兵力は25万人を擁す。この3セットの艦隊が、空母や原子力潜水艦を配備して虎視眈々と西太平洋を狙っている。
 中国海軍は2010年(つまり今年)までに、日本、台湾、フィリピン、インドネシアを包含する広大な海域に第一列島線を完成させるとしている。その内側において中国の権益を守るためには実力行使も辞さずという線引きだ。

 陸海軍あわせて10の軍閥が、共産党のコントロールから抜け出して、独り歩きを始めるとするとこれはかなり危険な状況であると言わざるをえない。
 中国の長い歴史を紐解けば、古代より中国のあちこちに軍閥ができて、それが跋扈することで戦乱が起きている。1920年代だって、蒋介石毛沢東張作霖たちが各地で軍閥を形成し、群雄割拠の状況だった。
 強大な武力を私物化できて、野望を持たないほうがおかしい。元来、中国人は項羽と劉邦以来のそういったDNAを持っているのだ。
 中国海軍の司令官が、アメリカ海軍の提督に「太平洋を半分ずつ分け取りにしませんか」と言ったのもあながち冗談ではなかったとも思える。