角を矯めて牛を殺す

 朝日新聞の1面に「中国、18分野報道禁止」という見出しがおどった。ほほう、この18が中国の弱点、人民に正当に説明できない中国共産党の悪行と考えればいいわけだ。
チベット問題」「新疆ウイグル問題」「貧富の格差」「官僚腐敗」「高額医療」「食品安全」……中国というメタボリックな大国は体内に問題を溜めこみ過ぎている。当局は情報操作することで人民の不満を押さえこみたいらしいが、どこまでそれが可能なのだろうか。
 少なくともこれだけの項目について、なかったことにしようとする国である。出してくる情報にしても、かなりのバイアスが掛かっているということだけは間違いない。つまりこういう国が大声で喚くことは、独裁政権維持のために都合のよいことばかりで、例えば「南京大虐殺」なんてウソだということだ。
 こんな国が、世界で2番目の経済大国となり、世界でも有数の軍事力をもって、その軍事費を止めど無く伸ばし続けている。そんな恐ろしい国の風下に隣接していることが日本の悲劇なのかもしれない。
 
 中国が隠そうとしている「貧富の格差」というのは、中国は有史依頼の未曾有のバブル景気に対して、北朝鮮では餓死者続出という貧国と富国の格差のことじゃないよね。
 北朝鮮が人民に強いた生産向上運動の「150日戦闘」も「100日戦闘」もことごとく失敗に終わった。デノミの大英断も大失敗だった。これらすべての施策は、金日成国家主席生誕100年の2012年までに強盛大国となるためだったのだが、ことごとく裏目に出ている。
 同じく今日の紙面に、北朝鮮国内でアメリカ映画の「2012」
http://eiga.com/movie/53616/
海賊版DVDを観た住民が逮捕されたというニュースが出ている。北朝鮮国内でDVDプレーヤーを持っているのだから、逮捕された人は富裕層といっていい。その富裕層の住民が知人の密告であえなく5年の懲役となる。北朝鮮の刑務所というのは劣悪な環境なので、生きて戻ってこられるかは疑問だ。
 さて、この人、なんの罪に問われたのだろう。海賊版を所有していたこと?いえいえ、違うんですね。「強盛大国」になる2012年に地球が大災厄に見舞われる映画を観るとはなにごとか、というのが逮捕理由なんだそうです。ほぼ言いがかりといっていい。

 これほどまでに情報を矯める国々が日本の隣国にある。桑原桑原。