充実した土曜日

 昨日、名古屋に出かけた。先週「八甲田風邪」をひいて「荘子塾」に行けなかったので久々の名古屋だった。栄界隈で音楽やらギリシャ悲劇の勉強をしましたぞ。その内容については、またどこかでお話しますね。
 その折、読書仲間のHさんに、隠れ家のような珈琲店を教えていただいた。いやー、そこで飲んだ「ホンジュラス」が美味かったこと。優しい酸味とほんのりとした苦味がちょうどいい具合に混じりあって、品のいい味と香りになっている。好きだな、このコーヒー。
 珈琲店で雑談をして、その後、居酒屋で……とも思ったが――「トマトのオデン」を食べさせてくれる店があるんですぞ――体調がもう一つはっきりしないので、心残りだったけれど、おとなしく家路についた。

 最寄りの駅で降りて、いつもの本屋に立ち寄る。「e−hon」で頼んでおいた、藤原正彦『名著講義』(文藝春秋)が届いていたので、それを受け取って帰宅後に早速読む。
 この本、藤原先生――『八甲田山死の彷徨』の著者である新田次郎のご子息――がお茶の水女子大学で永年にわたって続けられてきた読書ゼミをまとめたものである。取り上げられた本は、渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社)、福沢諭吉『学問のすゝめ』(岩波文庫)、内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』(岩波文庫)などなど。
 あらら、その中に、宮本常一『忘れられた日本人』(岩波文庫)も取り上げられているではあ〜りませんか。昨日読んでいた本に、今日また別の本の中で会えるとは奇遇ですな。なんだか、藤原ゼミの皆さんと読書会をしているようなそんな気がしてうれしかったのじゃ。