プロパガンダに騙されるな

 昨年の末に、中国の映画『農奴』を観た。
http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=427365&log=20081230
 徹底的に人民解放軍を「善」、チベットの支配階級を「悪」として描いたプロパガンダ映画だった。現実には、人民解放軍の侵略であり、現地で大虐殺が繰り広げられたのは周知のとおりである。中国共産党が領土を拡大するためには、侵略、虐殺、拷問、言論弾圧強制収容所民族浄化も、すべて共産主義の掲げる「平等」の下に正当化されてきた。そして正当化のための手段として、プロパガンダを多いに利用してきた。

 これにまんまと乗せられているのが、中国プロパガンダ新聞の「朝日新聞」である。昨日の朝刊にも「南京事件の映画に実名で告白」という見出しが踊っている。「本当にあったことなんや」と南京戦に参加した元日本兵が証言しているんだとさ。
揚子江の縁に立たしといて、バラバラバラッと小銃で撃つ。私は軽機関銃で。みんなバチャバチャッと揚子江に倒れるわ」
「機関銃でダーッと撃つので何千ですやろ。何百どころじゃない」
 この元兵士たちの言っていることは、それらしきことはあったのだろう。しかし、「何千ですやろ」って、かなりいい加減な数読みだね。人の記憶なんてものは歳を経るにしたがって段々と大袈裟になってくる。それに、証言されるのは、それはその兵士の見た範囲内のことで、彼ら一兵卒が南京市全体で何が起きていたかなど知るべくもなかった。そういった「点」でしかない証言を積み重ねていっても、中国政府の言う「南京34万人虐殺」にはつながらない。検証もされていない贋物を並べ立てて「わしがあったと言っているんだからあったのだ」と言われてもねぇ。
 それに現在では、鈴木明『「南京大虐殺」のまぼろし』(飛鳥新社)、東中野修道南京事件証拠写真」を検証する』(草思社)など、きちんとデータを検証した本が出ている。これらの本を読むと、一連の「南京大虐殺」情報が中国のプロパガンダでしかないということがよく理解できる。
 それでも大坂の市民グループが、こんな映画をわざわざ製作するとはご苦労さんなことですな。まだこんなことをして国を売っている人々がいるということは悲しいことだ。
たかじんのそこまで言って委員会」にサヨク原和美さんが出ておられるが、この人の発言を聞いていても、一度、イデオロギーに染められると、その呪縛から逃れることがいかに大変なことかが理解できる。自分の信じたことしか見えなくなるのである。こういった人たちには一刻も早く覚醒してもらいたいものだ。