なりふり構わず その2

(上から続く)
 基本的に北朝鮮は日本の脅威になりえない。それは軍事力が極めて小さいからである。軍事パレードは派手にやっているが、あれはしょせんセレモニーでしかない。平壌ではできるが、日本海に800キロもの海上兵站線を確保することは、彼の国には不可能だ。軍隊を日本に上陸させるなどということは夢のまた夢でしかない。
 やはり恐いのはミサイルということになるのだが、考えてみれば北朝鮮のむこうに中国がいるわけで、そこには戦略核ミサイルが14基もあるわけだ。それは間違いなく日本を含むアジア諸国に照準を合わせている。その脅威のことを考えれば、北朝鮮の核などに右往左往する必要はない。しょせん、宗主国中国の掌の中にいるのだから。
 温家宝首相を大歓迎する将軍様を見ていたら、すでにこの国は中華連邦に組み込まれているのだということを実感した。中国の属国なら中国の意向に背いて暴発することなどありえない。だから、北朝鮮は仮想敵国にする必要もないだろう。
 北朝鮮は、GDP(国内総生産)に対する軍事費の割合が25%を超えている。この数値は少し前のものだから、現在は30%を超えているかもね。この割合は、もちろん、世界一である。国民が飢えているというのに、そんなことには目もくれず大国の狭間でせっせと軍事に金をかけている。ある意味、哀れだ。

 中米にコスタリカという国がある。1949年11月7日に新憲法を発布し、その12条で「恒久的組織としての軍隊は禁止される」とうたい「非武装丸腰国家」になってしまった。だから、コスタリカではGDPに対する軍事費は「0」である。国のすべての予算を民生部門に使える夢のような国だ。
 北朝鮮のGEPは多く見積もって110億ドル、コスタリカが180億ドル、国民一人あたりに換算すると、北朝鮮が500ドルに対してコスタリカは4300ドルとなっている。コスタリカの10分の1の国が軍備に奔走しているのである。そりゃ国民は飢えるわなぁ。
 彼の国は冷静に見ていたほうがよさそうだ。