雅子と真希 その2

(上から続く)
 併読している本の中に、村上春樹1Q84』(新潮社)がある。その中に「読字障害」の少女が登場し、「平家物語」を吟ずる場面がある。そこを読むと、やっぱり「平家物語」が読みたくなったので、『平家物語』(講談社学術文庫)を引っ張り出してきてつまみ読みをした。そうすると登場人物の相関関係を確認したくなった。それには『NHK大河ドラマ・ストーリー義経』(NHK出版)がいいだろう。早速、書庫の奥から見つけ出してきて読み始める。そういえばこのドラマにも美しい女優が数多出演しておりましたぞ。常盤御前を演じた「稲森いずみ」、建礼門院徳子役の「中越典子」、毅然とした北条政子を好演した「財前直見」もよかったですね。
 ただね、その中でなんでこんなのが混じっているんだというのがいた。常盤御前の娘の能子(よしこ)を演じた「後藤真希」である。「モーニング娘。」出身であるから演技力のないのは仕方がない。しかし、女優に一番必要な表情が曇っている。単調というのか、奥行きがないというのか、なにしろ面差しが貧しい。十二単で着飾って貴族を演じているのだが、どうにも気品というものが表に現れてこない。人格が薄いように見えた。そのドラマが放映されたのは、ヤクザな弟の話が表沙汰になる前だったし、本人が、咥え煙草に胡座をかいてパチンコしている姿をフライデーされる前だったから、何の先入観もなかったが、そんな印象をもったことを覚えている。
 今、「夏目雅子」と「後藤真希」の写真を机に並べて見比べているが、二人とも、綺麗な女優という集合の中には含まれるのは間違いない。しかし、知性とか生き様には雲泥の差があるようだ。1枚の写真からでもその違いがありありとわかるのだった。