ダムの無駄 その2

(上から続く)
 同じ新聞の地方版に、愛知県の奥三河に建設予定の「設楽ダム」の記事が載っている。36年前に計画されたてから紆余曲折を経て、今年の2月にようやく地元同意が得られたと報じている。ようやく設楽の里がダムの底に沈み、三河人が愛した風景が死相に変ずるときがきたというわけだ。
 設楽ダムの位置はここ
http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/02dam/kihon01.html
 そして国土交通省はこう嘘をつく。
役割その1、洪水を調整します。
http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/02dam/kihon21.html
 これが嘘。昨年の集中豪雨のときにも見られた現象だが、だいたいダムというのは日常的に水を溜めているものなのだ。だから流域に大雨が降って、水がダムに集中するときには逆に水を放流してダムを守るのである。洪水を調整するために「普段は水を溜めていないダム」というのを見たことがありますか。
役割その2、川の流れを保ちます。
http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/02dam/kihon31.html
 これがまた嘘。
《川に一定量の水が流れないと、私たちの暮らしや自然、動植物の生態系などに大きな影響を及ぼします。》ダムで水を止めるから下流の生態系が破壊されるんでしょうが。上記のページに干上がった宇連ダムの写真があるが、ダム湖の底の生態系はかくのごとく絶滅する。
役割その3、利用可能な水をつくります。
http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/02dam/kihon41.html
 上記の本文を読んでいただきたい。
《近年のたび重なる水不足により、新たな水源を確保する必要がありました。》とあるが、これも嘘。近年じゃなくて、36年も前に計画しているじゃん。ということは水源確保というのが後付だということに他ならない。

 東京都副知事猪瀬直樹氏は、官僚が国民を騙すために巧妙な嘘をつくと指摘する。設楽ダムの建設についても巧妙な嘘でコテコテに固めてある。キャリアというテスト秀才が考えぬいた嘘である。なかなか田舎の住民では反論などできるレベルの嘘ではない。こうして全国のふるさとが食い荒らされていく。官僚生き残り国滅ぶ。嗚呼、已んぬる哉。