とぼけたことを…… その1

東洋経済」3月21日号に京大大学院の大澤真幸教授が「死刑制度試論」と題して持論を展開している。
 この人はこう言う。
《「先進国」の中で、日本は、死刑制度を持つ数少ない国の一つであり、死刑存置賛成が多数派を占める珍しい国である。》
 これは正しい。「先進国」という括りが今ひとつはっきりとしないが、主要先進国のことならG7(日、米、英、仏、独、伊、加)の国々ということになる。その7カ国に限定するならば、死刑存置国が日・米の2国で、その他の5カ国が死刑廃止なので「数少ない」と言われればそういうことになる。
 実際にワシャも死刑存置国の現状を『データブック オブ・ザ・ワールド』(二宮書店)などを使って調べてみた。死刑を廃止した国あるいは死刑を採用していない国は確認できたところだけで37カ国(カリブ海、太平洋の島嶼国は地図が小さくて確認できなかった。全部、死刑廃止国としても50〜60カ国程度だろう)、人口は多めに見積もって14億5000万人だから、割合で言えば、78%の人がなんらかの死刑制度のある国に所属していることになる。この状況で日本を「珍しい国」という言い方がいかにいい加減なものかが理解していただけるだろう。
 その後も、この人の何だかよく判らない話は続く。
《もしあえて死刑を存置するのだとすれば、死刑をめぐる制度に若干の手直しをしたらどうか》と言いながら2つの提案をする。
(下に続く)