池上遼一 その2

 発見した本をいただいて、帰宅してすぐ読む。(只今、読んでます。読んでます。読んでます)

 凄い。呉さんの書評どおりのレベルの高いコミックだった。内容を紹介しよう。芥川龍之介地獄変」、江戸川乱歩「お勢登場」、菊池寛藤十郎の恋」、山本周五郎「松風の門」、泉鏡花天守物語」の5作が池上の「画」で描かれている。どれも凄いッス。でもね、やっぱり、挿入してあった画がよがった(あくまでも、よかったではなくよがった)「藤十郎の恋」がいい。藤十郎が夢想する人の女房のお梶、このお梶の乱れた姿がぐっとくる。その後に、藤十郎にたぶらかされたことを知ったお梶の、能面でいえば「深井」のような表情が深い。なかなかこんな女の表情は画けない。さすが池上である。

 もちろんワシャは原作も読んでいる。菊池寛の原作もいい。しかし、原作の雰囲気を壊さずにビジュアル化した池上さんの職人としての実力はさすがだ。このあたりについては呉さんの『マンガ狂につける薬21』が参考になるので、皆さん、そちらも読んでくださいね。いい本ですよ。