誉める

 先週末に中堅社員の研修発表会があった。半年にわたって新規事業についての調査研究をして、最終的に幹部社員の前で発表するという研修である。一人前の仕事をこなしながらの並行作業になるのでその負荷はけっこう大きい。
 今回、その発表会の講評を頼まれた。ワシャが担当する発表チームの「報告書」と「プレゼン用シナリオ」を事前に入手して内容を吟味した。なかなかよく出来ている。
 この研修は10年前に始まった。実は第1回目の選抜チームにワシャも名前を連ねていて、関東方面に飛んで新規事業の調査研修を必死にした記憶がある。あの時には随分と突飛な提言をしたものだが、それでもその提言の幾つかは現在事業となって動いているから、少しは役に立っていると自負している。

 10年前の発表会で心に残ったことがある。発表が終わって市の幹部が講評をうけたのだが、その中の一人から厳しいコメントがでた。要するに「荒唐無稽だ」ということである。必死に数ヵ月を頑張ってきただけに、その評価はショックだった。何も動いていない何も見ていない幹部が発表だけを聞いて、いかにも分かったような御託を並べるのに無性に腹が立ったことを覚えている。
毘沙門天もご照覧あれ!」ワシャは謙信の如く誓ったのじゃ。もし立場が逆になったら、研修チームを絶対に誉めてやろうとね。
 今回、その絶好の機会を得た。発表の内容はワシャらのより数段出来がいい。だから素直に感謝し出来の良さを誉めた。誉めてばかりではバランスが悪いと思ったんでしょうな。幹部が立ち上がってケチをつけていたが、そんな重箱の隅をつつくようなことはどうでもいいのだ。最後に副社長が「皆さんの努力に敬意を表します」と言ってくれたのでほっとした。めでたしめでたし。