未曾有の大不況

 司馬遼太郎が「昭和恐慌」についてこんな文章を残している。
《身の毛のよだつような時代だった。倒産や夜逃げはざらで、失業した人は故郷に帰ろうにも旅費がなく、野宿をしながら歩いたりした。十五世紀の“応仁の乱”と同様、日本史上の大事態だった。不況は世界を覆い、震源地のアメリカをはじめどの国もなかなか出口が見出せなかった。》
 まさに今のことではないか。
 倒産や夜逃げはざらで、派遣切りされた人々は巷にあふれ出している。不況は世界を覆い、震源アメリカをはじめ世界が不況にあえぎ始めた。応仁の乱、昭和恐慌以来の国家の一大事だと自覚すべきだろう。
 そんな時に阿呆なマンガ総理を戴いて、「2兆円ばら撒きまんがな」という阿呆な施策を受け入れざるを得ない国民ってかわいそうだけど、ホントにバカだね(自嘲)。これも郵政選挙で小泉自民を選んでしまった愚か者へのしっぺ返しだろう。

 今朝の朝日新聞1面に「6者協議休会へ 北朝鮮、試料採取を拒否」という記事がある。ブッシュが譲歩に譲歩を重ねても、北朝鮮は一向に協力する気配はない。会議が空転すればするほど、彼の国の脅威は増してくる。杞憂ではない。北朝鮮の核を登載した弾道ミサイルは発射してからわずか10分で日本の都市に殺到するのだ。歴史を紐解けば、大不況が必ず騒乱を誘引した。この国際的な大不況に最貧国が暴走しないという保障を誰ができるというのか。
 同じ紙面に「ミサイル防衛 導入決定から5年」という特集が載っている。この中で、防衛省の幹部が迎撃の確実性についてこう言っている。
「理論的には防御できるはずだが、現実には未知数」
 1回60億円かかる迎撃訓練ができないから、こういった発言になる。だったら、マンガ総理がばら撒こうとしている2兆円を弾道ミサイル防衛に使えよ。2兆円あれば333回も訓練ができる。そうすれば優秀な自衛隊のことである。百発百中になって我国は北朝鮮の核の脅しから開放されることになり、くだらない会議に一喜一憂する必要もなくなる。

 経済も安全保障も応仁の乱以来の大変な状況にあるということをマンガ総理にはもう少し自覚してもらいたい。郵政選挙でも、前回の参議院選挙でも、選挙後にがらりと風が変わったではないか。ここはすっぱりと男らしく解散総選挙をして起死回生を狙いなさいよ。それで自民党が大敗しても、未曾有の危機に総選挙をうった総理大臣として名が残るから。