怒りの三連発 その1

 土曜日に本を漁りに行った名古屋からの帰路のこと。
 午後2時ごろ、南区の国道1号三河に向かってひたすら南下していた。山崎川を越して千竈(ちかま)に入った辺りから道路が混み出した。いつもの土日ならこんなところでは混まないのだが、笠寺に差し掛かる頃には大渋滞となった。
 何が起きているんだ。まさかクーデターでも起きているんじゃないだろうな。通常なら5分で通り抜けるところを30分も掛かってしまったわい。渋滞の原因は、沿道の町にある神社の祭礼(本地星宮祭)で、山車が2台、名古屋の主要幹線道路国道1号を塞いで、「ぴーひゃらぴーひゃら」呑気に曳き回しをしているせいだった。なんでも2000年から山車が復活したそうだが、頼むから裏通りでやってくれ。ワシャら何も関係のない通過するだけの人に迷惑を掛けないでくれ。2キロにわたる大渋滞に巻き込まれたドライバーたち3000人(1台当たり2人乗車、1台4mとして2km3車線で計算)は、限られた地域のためだけのお祭りに30分も付き合わされたのだ。昼飯も食わずに本を漁っていたので、腹ペこだったこともあってイライラしてしまった。
 渋滞を抜けて、古本漁りの帰りに寄る蕎麦屋に入った。ザルを頼んで、何冊か持ち込んだ古本を紙製のお絞りでクリーニングをしながら蕎麦のくるのを待ちましたぞ。暫くすると黒っぽい蕎麦がザルに盛られて出てきた。蕎麦猪口につけ汁を注いできざみネギとワサビをちょいと放り込む。蕎麦を割り箸で数本挟んで三分の二ほど汁に漬け一気に「ズルッ」と音を立てて飲む。蕎麦の香が喉から鼻腔に上ってくる。カーッ、美味い。本当は信州伊那の「砂場」で食いたいところだが、なかなかそうはいかないので、地元の蕎麦屋で我慢している。でも、久々の蕎麦はいい。
 ザルを一枚やっつけ二枚目に入ろうとした時のことだった。背後から「ふんぎゃー!」という雄叫びがするではあ〜りませんか。赤ん坊連れのお客がワシャの後の座敷にいたのじゃ。赤ちゃんはその後もずーっと泣き続け、茶髪にジャージ姿の母親とその仲間は、赤ん坊を泣かせたまま平然とうどんをかっ食らっている。なんとかしろよ。お前の自宅じゃないんだ。他のお客様が迷惑だろう(とくに静かに食事をしたいワシャが迷惑なんだけど)。ようやくバカ母が動いた。うどんを口に入れたまま「うるさいよ!」って赤ちゃんを叱っている。赤ちゃんに怒鳴ったってわかるわけねーだろ。おいおい、口から出ているうどんを仕舞えよ。見なきゃよかった。楽しみにしていた蕎麦だったが、食欲がなくなってしまった。
(下に続く)